はじめて見た女の顔は、真っ白で上品な顔立ち。しかし目は異常につり上がって
いたらしい。
 そのあとすぐ、例のひどい立ちくらみがして、その場に倒れ込んでしまった・・・・。
 私は、その女性が生きている人間ではないことを直感した。隠しカメラは、わずか
直径2ミリだから、バッグに仕込んでいるのを見破る人間などいるはずがない。
「あなたは今後その前を一人で通らないように・・・」と言って、彼女を家に帰し、
独自の調査に取りかかった。

 女の亡霊は、たまたま彼女と周波数が合ったため姿を見せたのだろう。亡霊は、自分の
存在をアピール、つまり忘れてほしくないときに現われると聞いたことがある。よって、
「研究室にはいる」という行為そのものが、謎を解くカギであるように思われた。
 私は警視庁捜査○課のA警部補に電話をかけ、その大学で起こった事件があれば
なんでも教えてくださいと依頼した。そして、調査員を連れて大学構内の聞き込みに
向かった。