●更新日 11/13●


ココイチ創業者「過去の大食い企画を恥じる」と発言


「ココイチ」の愛称で知られるカレー専門店「CoCo壱番屋」創業者特別顧問の宗次徳二氏が、2010年11月8日の東京新聞夕刊のコラムにて、興味深い発言をしている。

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経営の第一線にいた時、「カレーライスの大皿1300gを20分以内で完食すれば無料」という企画を始めた宗次氏。達成者の顔写真を店内に掲示し、話題作りとしては成功したが、「当時から食べ物をゲーム感覚で扱うことに疑問を感じていないわけではなかった」という。「食べきれずに廃棄するケースも多くあり、数年前に会社として中止を決めたが大切な食べ物でもったいないことをしたと恥じている」そうだ。

大食い企画で脚光を浴びたココイチだが、同社の本社が愛知県に建てられた約30年前は、周囲もほとんど田んぼだったという。しかし、現状では日本の食料自給率は低く、食の多様化によるコメ離れも進んでいる。ココイチは「16年前におコメの消費拡大に寄与したとのことで、農林水産大臣賞をいただいたことがある」そうで、なんとかコメの消費拡大を図れないかと、宗次氏は思案している。

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11月12日、当サイトでは株式会社壱番屋に取材し、このコラムの内容について詳細を尋ねた。ココイチでは客が注文時に量を調整できるが、「1300gくらいが限界値かな」と考えて作ってみたことが、企画の出発点だという。すると、それがテレビで取り上げられ、話題になった。客も企画を喜んでくれたため、宗次氏の本意ではなかったが、やめるにやめられなかったという。

日本でコメが不足し、企画を一旦中止したこともあった。そのような時期に、多くの食べ残しを捨てることはできないと考えたが、「なぜやめるのか」との声が客から相次いだという。そこで、希望する店舗でだけ復活させた。とはいえ、食べ残しを持ち帰る人はいないこと、「もったいない」という意識が世の中に浸透したこともあり、徐々に企画を縮小していった。そして最終的に、企画そのものを中止したとのこと。

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大食い企画は、昭和の時代から続いていたようだ。ただし、農林水産大臣賞の受賞は、この企画とは全く関係がない模様。コメを主食として提供している飲食店であることが、受賞の理由だったという。それから16年が経過し、大食い企画や大量廃棄に対する世間の目は厳しくなった。だが、自給率の問題は依然として解決の見通しが立っていない。宗次氏は自身の経験から、そんな日本社会の現状を、人一倍切実に認識しているのだろう。



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