●更新日 05/06●


大橋巨泉「外国人参政権が脅威なら日本は滅んでいい」


大橋巨泉氏が、週刊現代の連載「今週の遺言」(2010年5月8・15日合併号)で、またもや外国人参政権について持論を展開した。 (関連記事 1 2 3 4)

週刊現代

今日の科学の進歩は、国籍や人種の壁を超えて世界中の科学者が協力してきた成果であるという。政治もそれに呼応して様々な規制を緩和してきたが、日本では政治家の資質の問題と官僚の縦割り行政のために、それが遅れていると指摘する。そのことを前提として、以下のように論じている。

「永住外国人に、地方参政権を与えるという法案が、リトマス試験紙となる。亀井静香などというコンクリート製アタマの持ち主は、「この法案は日本を滅ぼす」だと。誰がどうやって滅ぼすのか、データを揃えて説明して欲しい。いつか櫻井よしこさんの反論にお答えしたように、そんな事は起らない。第一その程度の権利(被選挙権もない、ただの投票権)を与えただけで“滅びる”ような国なら、滅んでも構わない」。

大橋氏によると、外国人参政権に反対しているのは「ネガティヴな“保守”をしたがる政治家」であるという。「彼らはたった数十年前まで、日本人が北米で、どれだけの差別に苦しんだか、忘れてしまったのか」と批判する。そして、「ネガティヴからは何も生まれない」として、ポジティヴに考えるべきだと提唱する。

連載

この発言内容について、コミュニケーション論を研究する社会学者に話を聞いた。同氏によると、科学社会学の知見を参照すれば、大橋氏の主張の前提は正しくないという。第一に、科学の研究成果が国籍や人種を超えて共有されやすいのは、英語をベースとした専門用語がコミュニケーションに使用されているためである。つまり、国籍や人種が異なっても、認識や前提にズレが生じにくいという特殊性があり、この点で科学と政治は異なる。

第二に、「世界中の科学者が協力する」という理想主義的な図式は、過去の科学者像だという。先端技術についての研究者の国際的なネットワークは、確かに存在する。しかし、それは各国や企業が開発競争に遅れないためのものであり、知的所有権などの争奪が展開されているというのが現実である。そして、そのような科学の動向に対応して、政治も戦略的になされている。

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それにしても、議員に当選したらすぐに投げ出し、海外で悠々自適の生活を送る人間に「日本は滅んでも構わない」などと言われても、説得力は皆無ではないだろうか。




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