●更新日 01/31●


彫刻が夜に動き出す?オフィス街の都市伝説を検証


都内有数のオフィス街である、丸の内。この近辺で新たな都市伝説が誕生したらしいとの情報を得て、現地へ向かった。

情報提供者によると、一帯に展示されている彫刻が、夜になるとその位置を変えるという噂が一部に流れているそうだ。「丸の内ストリートギャラリー」という三菱地所による企画で、彫刻の森美術館などが所蔵する名作が長年にわたって、道沿いに展示されてきた。それらの作品の一つから、都市伝説が生まれてしまったというわけだ。

その彫刻とは、「二人の人物と犬」という1988年の作品。ストリートギャラリーについて紹介した2009年10月4日の産経新聞には、「映画「千と千尋の神隠し」のカオナシを連想させる。犬の頭や鼻をなでてしまう人もいるとか」との解説がある。確かにカオナシにも似ているが、周囲がライトアップされていて明るいためか、不気味な雰囲気は感じなかった。

       



この彫刻が動くという都市伝説は、なぜ生まれたのか。その理由について情報提供者は、「二人が背中合わせに立っていて、正面から見ると小柄な人物が陰に隠れて見えないからではないか」と述べる。見る角度によって目の前に現れる人数が異なることから、酔った人や軽率な人が何らかの錯覚にとらわれたのだろうか。

今回紹介した都市伝説を知っているかどうか、近辺を歩いている人々に尋ねてみた。オフィス街ということもあり多忙な人々ばかりなのか、なかなか話を聞いてもらえない。話しかけることに成功しても、そんな都市伝説は知らないという回答が続く。「もしかしてガセをつかまされたのか」などという、よからぬ思いもよぎった。また、ナンパと間違われたのだろうか、OLと思われる女性には、無言で「フンッ」と鼻で笑われてしまう始末

しかし、諦めずに場所を変えながら聞き込みを続けたところ、近くの企業に勤務しているという女性から、興味深い話を得ることができた。この近辺では、以前から「カウパレード」というイベントが開催され、牛のオブジェが各所に置かれてきたという。その中の一つである巨大な牛に関して、「夜になると動く」という噂を以前に聞いたことがあるそうだ。

その噂が、「二人の人物と犬」が動くという都市伝説へと転じたのだろうか。「怪奇探偵」で山口敏太郎氏も述べていたように、都市伝説は様々に形を変え、新たなものが誕生してきた。今回紹介した伝説も、そのような過程を経て生まれたのかもしれない。




探偵T



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