●更新日 01/02●


「レギンス男子」ブームの起源はマスコミが捏造した?


2009年、「〜男子」という表現が流行した。その一つが、「レギンス男子」である。

この言葉とブームの中身を説明した記事では、「ヒートテック」や「ヒートファクト」、「ファイバーヒート」等、国内の低価格路線の各種ブランドの商品の大ブレイクが背景にあったと書かれていることが多かった。だが、この説明は限りなく嘘に近いと、アパレル関係者は述べる。不況でアパレル業界全体が低価格路線に傾いている現在、そうした商品と連動してブームを作り出すことは、必然の流れだったのではないかという。

では、「レギンス男子」ブームの本当の起源とは何なのか。「一番の要因は、2008年に行なわれた2009年春夏のGivenchyのコレクションです。パリで最大の注目の的になったコレクションで、そのキーアイテムがレギンスだったんです。メンズファッションでショートパンツにレギンスをコーディネートするという斬新なパターンは、たちまち多くのブランドが取り入れるようになりました」。


ジバンシィ2010年コレクション


Givenchyは、フランスの老舗高級ブランドである。これまでレディースのデザインを手掛けてきたリカルド・ティッシ氏が、2009年よりメンズも担当することになり、話題を呼んだ。同氏が提案したレギンスを使ったコーディネートは、その後のコレクションでも定着。各種のパーツや装飾を施したものなど、素材やデザインを変えて、多くのバリエーションが作られている。


ジバンシィ2010年コレクション

ジバンシィ2010年コレクション


ちなみに、先述のアパレル関係者が伊勢丹メンズ館のスタッフから聞いた話では、入荷日にGivenchyのレギンスは即座に完売したそうだ。1本数万円という価格にもかかわらず、である。あまりの売れ行きに、伊勢丹ではメーカーに交渉して、特別に追加の発注までしたという。追加分も予約で一杯になり、店頭に並ばないまま全て消えたらしい。

「Givenchyのレギンスを欲しくても、高額で手が出ない人はたくさんいます。そういう人たちが、レディースの安価なものを求めたんですね。それで、あっという間に「レギンス男子」が爆発的に増えたんです」。ヒートテック等の人気とはかけ離れた所で誕生した、「レギンス男子」。とはいえ、低価格のレギンスに殺到する人々によってブームが生まれたという点では、不況の影響が背後に垣間見える。

ブームは作られる。「誰がどんな意図で作ったか」と考えてみると、世の中も今までとはちょっと違ったように見えてくる。



探偵T



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