●更新日 12/31●


タバコ描写で児童書回収、抗議した嫌煙医師に非難続出


タバコに関する描写が多く出てくる児童書「おじいちゃんのカラクリ江戸ものがたり」(福音館書店)が抗議を受けて販売を中止し、既に流通した分の回収を呼びかけている。

同書の内容に対しては、喫煙の害悪等を訴える組織等から出版元に抗議がなされていた。出版社に送付した抗議文や、販売中止に至る経緯等が掲載されたサイトの中でも特に注目を集めたのは、青森県の小児科医が運営するブログだった。同氏は喫煙問題に熱心に取り組み、各種の関連組織にも加盟している模様。

ブログでは、福音館書店に宛てた抗議文を掲載。ストーリーと関係のない喫煙の描写やタバコの礼賛の続出を指摘し、「販売する価値がないどころか悪影響を及ぼす絵本を定期購読だからといって無理やり買わされる筋合いはありません。書店を通じて返品しますので代金を返金してください。定期購読も中止します」と記した。

さらに、JTの「たばこと塩の博物館」が協力していたことから、「単なる取材だけでなく何らかの要求と利益供与を含んだ関与であることが濃厚に疑われます」と推測。タバコ規制枠組み条約にも違反するとして、その理由を説明した。また、同書の回収と返金、JTの関与の有無について説明を要求し、「上記の処置がなされなければ、ネット上および様々なチャンネルを通じて福音館書店の不買運動を続けさせていただきます」と宣言した。






すると、過剰な抗議ではないか、不当な圧力ではないかといった非難が医師のブログ等に続出した。これに対して医師は、自身の見解は不当ではないと反論したが、コメント欄は書き込み不可能となり、ブログも削除された。しかし、同一内容を掲載した別のブログは現在も更新されている。また、福音館書店による回収と経緯説明に納得し、不買運動の撤回を表明した。




当サイトに芸能情報を提供してくれている出版関係者によると、喫煙をめぐる描写は、書籍だけでなくテレビでも注意されるようになってきたという。若者に人気のドラマで喫煙の描写があると、作品や出演者に抗議が続出したり、喫煙礼賛への「貢献度」ランキングが嫌煙団体から発表されたりするためだという。「そんなのは気にするな」という業界関係者もいるが、禁煙が広まる風潮で、そうした世論は無視できなくなっているとのこと。

なお、今回の騒動の経緯等について当該の医師に取材を試みたが、年末のためか、氏が経営するクリニックには連絡がつかなかった。



探偵T



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