●更新日 12/08●


「ゲームをやる子供はキレやすい」との批判が再び続出


一時期マスコミ各紙で頻繁に見られた、「ゲームをやる子供はキレやすい」という論調の記事が、再び目立つようになってきた。

最近の子供は「インターネットなどの発達で、他人と直接触れ合う体験も少ない」と、具体性のない印象操作に等しい表現が、2009年12月6日の読売新聞の社説には見られる。「携帯電話やパソコンでの有害サイト、テレビゲームの利用状況と、暴力行為との因果関係などを調査し、分析していく必要がある」との一文で、記事は終わる。

都内の大学病院に勤務する精神科医によると、「ゲーム脳」批判が提起されだした時期から、マスコミの論調に変化が見られるようになったという。今回の記事もその例であり、記者は暴力とゲームの因果関係の有無を断言しないことで、自らの責任を回避する。そして、自身の主張への反論となり得る、「ゲーム脳」批判については黙殺する。





7日の山陰中央新報の記事では、「サザエさん一家虐殺ゲーム」という極端な例を挙げてゲーム全般を批判。「画面上で何万人もの殺人と命のよみがえり体験を繰り返し、正しい死生観を獲得することさえ難しくなってきた」などと書いている。そして、「ゲームで脳の前頭前野が不活発になり、それにより「キレやすい脳」になると、多くの脳科学者が警鐘を鳴らしています」と、多くの疑問が専門家から提起されている「ゲーム脳」を前提に論じる。

4日の東京新聞の読者欄にも、同様の趣旨の投稿「犯罪 まるでゲーム感覚」がある。ネット銀行への不正アクセスやゲーム感覚での万引きについて、「いずれの犯罪もネットやリセット可能なゲームの影響を少なからず受けているといえよう」と述べる。その根拠を示さずに、直後には「子どもたちは、平気で「死ね」という言葉を口にする。聞いていて背筋が寒くなる気がする」と全く関係ないことを記し、読み手への印象操作を図っている。





これに対して前出の精神科医は、「残虐な表現のある一部のゲームの内容を、一般化した議論が目立ちます。リセットボタンが強調されますが、テレビゲームがない時代の人も負けそうになると、将棋盤や碁盤をひっくり返していましたよね」と述べる。認知症予防にゲームを推奨する記事と、ゲーム批判の記事が併存しながら、両者の関係性が紙面で一切示されないことも問題ではないかと、同氏は指摘する。

このような問題提起を、マスコミ関係者はどのように受け止めるだろうか。



探偵T



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