●更新日 11/10●


文春が婚活詐欺殺人事件を実名報道で広告業界も混乱?


婚活詐欺殺人事件の実名報道は、広告業界にも影響を与えているようだ。

10月30日の記事で扱ったように、この事件については東京スポーツが早い段階で実名にて報じた。被告の写真もカラーで掲載するなど、注目を集めた。それに続いて、週刊文春と週刊新潮の2009年11月12日号にも、実名や写真を掲載した特集記事が見られる。その記事に関して、読者から情報が寄せられた。

読者によると、電車の中吊り広告では、文春の記事の見出しにある被告の氏名は、そのまま掲載されていたという。しかし、5日の東京新聞に掲載された広告では、氏名の部分が塗りつぶされていたとのこと。同紙を入手して確認したところ、被告の顔写真も、目の部分が黒い線で隠されていた。





そこで、東京新聞に話を聞いてみた。中日新聞東京本社の広告局出版広告部の担当者は、「他紙でも同様の扱いだと思いますが」と前置きした上で、実名を伏せるかどうかは、それぞれの掲載基準次第であると述べた。出版社と協議し、どのように掲載するのか決めるとのこと。

実名を広告に掲載しなかったのは、なぜなのか。担当者によると、東京新聞の記事で被告の名前を出していないということだという。同紙が実名報道しない理由は、被告が未だ立件されていないというもの。先月末に放映された「みのもんたの朝ズバッ!」でTBSの解説員が、「不審死の容疑で逮捕されなければ出せない」と説明していたことと重なる判断だろう。

「文春が実名報道していることについては、どのように考えますか」と尋ねたところ、「それぞれの会社の判断ですから、関与しません」と、あまり歯切れのよくない回答だった。立件された場合には実名報道に切り替えるのかと問うと、状況次第ではあり得るとのことだった。

また、電車の中吊り広告についても調べてみた結果、鉄道会社によって対応が異なることも明らかになった。東京メトロの中吊り広告では、文春の見出しにある被告の名前をそのまま掲載している。しかし、JRでは東京新聞と同様に、被告の名前と顔写真の一部が黒く塗りつぶされていた。





ちなみに、文春はHPでも実名を挙げている。それに対し新潮は、紙面広告だけでなく中吊り広告やHP掲載の画像にも、目の部分に黒い線を入れている。匿名報道の基準について、国内のメディアで未だ十分な合意が得られていないという実態を、この事件は顕著に示していると言えるだろう。



探偵T



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