●更新日 04/01●


東京新聞がチベット問題の悪フザケ記事を掲載!


北京オリンピック開催が近づくにつれ、チベット問題への人々の関心は一層高まっている。そうした中で、この問題を扱った悪フザケ同然の記事を東京新聞が掲載した。

その記事とは、2008年3月31日に掲載された「パロディー寄席 嘲笑点」。パロディストのマッド・アマノ氏によるもので、この日が最終回だった。マッド氏は、ネット上に「Weekly THE PARODY TIMES」というサイトを持っている人物で、「権力に楯突くパロディー新聞」とのキャッチフレーズがサイトのトップページに見られる。

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問題の記事の中身というと、チョモランマへの聖火コースに反対しているダライ・ラマ14世が中国政府と話し合った結果、チベット族への人権弾圧をなくすことを条件に、自ら聖火ランナーを務めることになったというもの。

文章の下には、マッド氏の作品(先掲載画像)があり、登山着にトレッキング・シューズを着用したダライ・ラマ14世が、聖火と黒い旗を持ってチョモランマに登っている様子が描かれている。作品の下には説明文があり、この旗についての解説が記され、これは人権弾圧に抗議する「国境なき記者団」による「手錠五輪マークの旗」だという。

「国境なき記者団」とは、パリに拠点を置く国際的なジャーナリスト組織だ。この「人権・人道」的な立場を主張する組織には、一方で暴力的な側面もある。3月24日の朝日新聞には、「「国境なき記者団」五輪採火式に乱入 チベット弾圧抗議」と題した記事が掲載されている。同日にギリシャで行なわれた聖火の採火式に同組織のメンバーが侵入し、北京オリンピック組織委員会の劉淇会長の演説を妨害しようとして、警察に取り押さえられたという。

今回の記事は、マッド氏一流の「権力に楯突く」パフォーマンスの一環だったのだろうが、上記のような内容は、かえってチベット問題の当事者に不快感を抱かせる結果となるかもしれない。

しかも、この記事が掲載された特報面には、チベット問題の深刻さを訴える記事が同時に掲載されていた。チベットに長い関わりのある作家の渡辺一枝氏が、写真集「風の馬」を出版したという内容だ。「『暴動』といわれているが、習慣や文化が禁じられ、消されていくことへのやり切れなさが噴き出したのでは。北京五輪の年に知ってもらわなくては、というあせりもあるのでしょう」と渡辺氏は記事中で述べている。

このような重い記事と同時に、チベットに対する配慮が十分とは言いがたいパロディ記事が掲載されたことは、大手の新聞として配慮が足りなかったのではないか。あと一日遅く、エイプリル・フールにパロディ記事を掲載していたら、読者の印象も少しは違ったかもしれないが・・・。



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