●更新日 02/07●


「中国の日本批判」誤報は朝日の印象操作?


中国のメディアが「毒ギョーザ事件は日本のメディアによる捏造」と報じている、とテレビ朝日がニュース番組で伝えたところ、それが誤報だったことが判明して大騒ぎになっている。

2008年2月6日のZAKZAKによると、問題のニュース番組は2月1日に放映された。中国の新聞「参考消息」が掲載した記事を誤訳し、「毒ギョーザ事件は日本のメディアの捏造だと報道している」という情報を配信したという。そのニュースを見た自民党議員からの連絡で外務省が確認を取ったところ、誤報であることが判明した模様だ。

「参考消息」の見出しには、「日媒体炒作“毒餃子”事件」とある。これを和訳する場合、「日本のメディアが“毒餃子”事件を騒ぎ立てている」とするのが正しいという。

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この件についてテレ朝の広報部は、「該当する中国語は広い意味で使われているが、今回の訳は、誤訳や誤報に当たらないと認識している」という見解を表明した。

では、ニュースの中で実際にどのような表現が用いられたのか、放映内容を直接確認してみよう。探偵ファイルでは、その内容を一字一句正確に文字に起こしてみた。
「今朝の新聞には、こんな見出しが躍った。「日本マスコミが毒ギョーザを捏造。日本のメディアが中国製餃子を包囲、攻撃している」。そして中国の輸出食品の99%以上が安全で、日本での保存過程に技術的問題があったのか、誰かが故意に行なった可能性は排除できないとしている。」

今回の誤報問題を報じた各記事では未だ扱われていないが、当該のニュースには上述の箇所に続く部分があった。そこには、北京での街頭インタビューが収録されていたのだが、気になる点がある。番組では、インタビュー内容の概略として、以下のようにテロップを表示した。
男性「中国の商品は安全だと思います。マスコミのねつ造でしょう」
女性1「中国は輸出食品への検査がかなり厳しいですよ」
女性2「日本人は過剰反応です」

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これまでに報じられたところでは、中国では自国の食品の安全性に対して不安を抱えている人々も少なくないという。中国では毒ギョーザ事件に関して、主にネット上での日本批判が強いようだが、人々は必ずしも「他人事」として捉えているわけでもないようだ。だとすると、上記のインタビューで、全てが中国に肯定的、日本に否定的な見解であったことは、単なる偶然だろうか。「毒ギョーザ事件は日本のメディアによる捏造であると中国メディアが報じたことを、中国の人々の多くが支持している」という印象を、これらのインタビュー結果は視聴者に与えるように思える。

テレ朝といえば先頃、BPOの放送倫理委員会からの批判を受けたばかりだ。2007年11月28日、12月8日のニュースウォッチで報じた、マクドナルド元店長とされる人物へのインタビューの「偽装」問題と、それに対する同局の対応が倫理的に問題であるとされた。12月7日に「偽装」を認めた古舘伊知郎キャスターは、謝罪を述べる際に「あえて報道ステーションはそのことを報告させて頂きました」と発言。この「あえて」という表現は不適切ではないかとBPOが説明を求めても、テレ朝は答えをはぐらかすばかりで、問題があったとは認めなかったという。

多くのインタビューを収録し、その中から自局の主張に合致する見解ばかりを放映するという手法は、「偽装」と並んで、以前から用いられてきた。テレビが伝える「街の声」を視聴者が容易には信じなくなってきているとはいえ、印象操作が入り込む余地は未だ各所に見られるようだ。



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