●更新日 01/22●


BPO、江原啓之霊視番組を「放送倫理違反」と判断


2007年11月15日のニュースウォッチでお伝えした、「FNS27時間テレビ」での江原啓之氏の「スピリチュアル・カウンセリング」騒動に新展開があった。

放送倫理・番組向上機構(BPO)の放送倫理検証委員会は2008年1月21日、同番組の企画は、「「ハッピー筋斗雲」・Aさんコーナーの取材・構成・演出は、制作上の倫理に反するものと判断する」との結論を下した。番組の詳細については前回の記事をご覧頂きたいが、番組中で江原氏のカウンセリングを受けた女性(BPOは「Aさん」と仮名表記)が、放映内容はヤラセであり多大な被害を受けたと告発し、問題になった。
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BPOが倫理的に問題としているのは、以下の二点である。第一に、番組が取材した女性を称え元気づけることより、江原氏の「霊視」見せることに主眼が置かれている。第二に、「受ける本人の同意と内容の守秘(非公開)」というカウンセリングの原則を無視したばかりか、女性の悩みを強引に設定し、一方的に生き方への指示を与えている。
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BPOのHPには、この企画のヤラセがどのように行なわれたのかということについて、その経緯も詳細に記されている。コーナー冒頭に登場する、女性が経営する美容院のスタッフからの相談の手紙は、番組スタッフの依頼によって書かれたものだったという。また、番組放映内容に、事実に反する部分が多々あったばかりか、女性が江原氏に反論した部分がカットされていたとのこと。

この点についてのフジテレビの釈明が見苦しい。「番組としましては、あくまでもカウンセリングの過程で交わされた自然な会話のやりとりと認識し、限られた放送時間の関係上、それを割愛させていただきました」という。「放送時間の関係」という理由があれば、視聴者に事実とは異なった印象を与えるような編集を行なってもいいという判断なのだろうか。

番組の方針に関しても、フジの見解は納得しがたい。「バラエティー番組として、ご本人の気持ちのあり様を表現していくことを意図して制作した企画の為、美容院の経営状態を客観的なデータで裏づけるまでの調査はしておりませんでした」という。「バラエティー番組」であることを口実にすれば、十分な確認を取らなくても、「ご本人の気持ちのあり様」という主観的な事柄を中心として、番組側に都合のいいような解釈を容認してきたということだろうか。

フジが挙げる「おもしろさ」、「わかりやすさ」を中心とする番組姿勢についてBPOは、「発掘!あるある大事典」の調査委員会が厳しく指摘したことの繰り返しであり、教訓が生かされていない、と述べている。そして、「今回は、当委員会の判断結果を、フジテレビに強く自省を促す「意見」として公表することとした」と結論付けている。

この問題について、当該の女性は自身のブログに詳細に記している。「私達はあの日から地獄の日々が始まりました」、「こんな秋田の一般市民が裁判なんて出来るはずがありません。泣き泣き我慢しました」と、番組への強い怒りを表明。また、江原氏について「きっと彼はテレビから頼まれた・・と言い切るかもしれませんがお金の為には何でもやるのですか?」と批判する。女性は、様々な風評被害で苦しみ引きこもる生活が続き、美容院のスタッフも円形脱毛になったほどだという。

ブログには、番組中のヤラセがどのように行なわれたのかという点に関する、具体的な記述もいくつかある。例えば、女性が経営する美容室が経営難で無人状態であるとして放映された場面も、事実と全く異なるという。「お客様のことを考えて映らない方がいい」と、客のプライバシーをスタッフから指摘され、画面に映らないように客に移動してもらったというのだ。

女性はブログで、「私は人に裏切られても・・人を信じます」と書く。BPOから「倫理違反」宣告を受けたフジテレビ関係者は、この言葉をどのように受け止めるだろうか。



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