●更新日 10/18●


神戸新聞の 2ch 集団献花オフ批判記事の「違和感」


2ちゃんねるの「集団献花オフ」を批判した新聞記事が神戸新聞に掲載され、ネット上では賛否両論、話題を呼んでいる。その内容を紹介すると共に、問題の論点を掘り下げてみよう。

2007年10月11日、神戸新聞は「ネットが介する違和感」 と題した記事を掲載した。記事で扱っているのは、金品を要求された男子生徒が自殺した事件に関連して、生徒の冥福を祈ることを目的とした「集団献花オフ」。この記事によると、オフ会開催の呼びかけを知った地元の人々から、「ゲーム感覚ではないか」という不安の声が上がったという。学校も、オフ会が予定されている日の部活を中止し、警備員の数を増やしたとのこと。当日は、喪服姿の参加者約20名が集まったという。

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ところが、オフ会の開催を告知した「滝川高校献花オフ まとめ」というサイトを見ると、記事とは随分異なった印象を受ける。「被害者の冥福を祈り、献花し黙祷することが目的」、「加害者や学校関係者に対しての抗議活動ではありません」と明記した上で、「追悼のためのオフですので犯人探しやもめごとなどはご遠慮ください」と注意している。また、「学校の敷地内なので学校の方や警備員に許可をとって献花しましょう」、「献花後は速やかに解散しましょう」といった記述もある。

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2ちゃんねるのオフ会というと、ネット利用者が悪ノリして勝手に行動し暴走するというのが、一般的なイメージかもしれない。神戸新聞の記事からも、そのような印象を受けるだろう。だが、今回の場合、学校が用意した献花台が校舎の入口付近に設置されていて、それに献花することが目的だったのだ。当然、学外関係者からの献花を禁じていたわけでもない。

神戸新聞の記事では、「参加者の多くは冒頭のような、ネットを介した“軽い”ものだった」として、「『2ちゃんねる』の呼びかけに応じただけです」というコメントを紹介している。だが、まとめサイトを見ると、「たとえ好意的なマスコミであっても顔は出さない、答えない  今回は被害少年の追悼が一番の目的ですので献花した事実が伝わるだけで良いと思います」とある。これまでもマスコミが2ちゃんねるのオフ会を度々報道しているが、自分たちの主張に都合のよい参加者の発言だけを拾って記事化し、ネット叩きに利用してきた経緯がある以上、これは当然のことだろう。神戸新聞の記事では、このような点については一切言及がないため、上記のコメントが発せられた文脈は意図的に歪められている。とはいえ、地元の人々の不安を増長したとすると、やはり問題はある。

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この点について、コミュニケーション論を研究する社会学者に意見を聞いてみた。
「ネット叩きが目的の記事と言われても仕方ないでしょう。ですが、オフ会参加者にも一考してほしかったですね。著名人の葬儀などには不特定多数の人々が集まりますが、今回の場合、せいぜい地元の住民が来ることくらいを想定していたのでしょう。見知らぬ人々が大勢押しかけてくると知ったら、場慣れした著名人と違って、不安になる人も少なくないはずです。だからこそ、遺族や地元に配慮して、オフ会は自粛してもよかったと思います。ネットのように互いの顔が見えない不特定多数の人々による匿名のコミュニケーションでは、互いの思いが増幅されて、それが行動に移されやすくなります。たとえそれが善意に基づく行動だったとしても、踏みとどまる勇気も大切です。」

オフ会自体に対する評価はともかく、神戸新聞の記事には納得できない。記事の末尾には、「見ず知らずが一同に集う「違和感」。事件をめぐる匿名の誹謗中傷はネット上で今も止む気配がない」とある。これを読む限り、今回のオフ会も誹謗中傷が目的だったかのように受け取られるだろう。これは情報操作と言っても過言ではなく、神戸新聞の記事への強い「違和感」を感じずにはいられない。



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