●更新日 09/12●


「ウェブ魚拓は著作権違反」と新聞社が削除命令


ウェブ魚拓でweb上の新聞記事等を保存することは著作権違反。このように判断した中日新聞が、ウェブ魚拓に対して同紙関連の記事を全て削除することを命じた。

中日新聞データベース部から届いた削除依頼は、ウェブ魚拓にて公開されている。当該の文章を引用しよう。「先日、読者からのメールの通報を受けまして、御社提供のサイト「ウェブ魚拓」を拝見させていただきました。そこで、弊社のホームページが大量のキャッシュされているのを確認いたしました。(半永久的に残るようなのでキャッシュではなく、複写保存と解釈させていただきました)ご存知かもしれませんが、弊社ホームページを無断で複写し保存することは、著作権法に基づき、禁止されております。従いまして、下記から始まるURLの削除をお願いします。」

これに対して、ウェブ魚拓は「削除判定  現バージョンの機能では有効な抗弁を行うことができず、著作権の侵害として対応。」として、中日新聞が指定した記事全てを削除した。この件では、少なからず反発意見が出ているようだ。その理由の一つは、「紙に印刷された新聞と異なり、web上の記事は、新聞社が記事の一部を予告なく書き換えたり、突然削除したりできる。だから、ある時点に報道された内容を記録する手段としてウェブ魚拓は必要だ」というものだ。

中日新聞がこのように批判される理由として指摘されているのは、名古屋での女性拉致・殺害事件での、同紙の報道姿勢である。事件発覚当時、被害女性のブログの詳細を中日新聞が記事で紹介した。すると、その記事を見て当該のブログを発見したネット利用者らによって、ブログに関する情報が各所に流出したり、ブログが荒らされたりといったことが発生した。その後、中日新聞は当該記事を突然削除した。これに対して、一連の報道姿勢に関する非難の声が続出した。

では、このような問題と今回の件は、どのように関連付けたらいいのだろうか。ネット利用者の一方的な声だけでなく、新聞社側の見解にも耳を傾けてみよう。中日新聞データベース部に問い合わせたところ、回答が得られた。その要点をまとめてみよう。
(1)半永久的に残るウェブ魚拓の場合、google等のキャッシュとは性質が異なる。googleのキャッシュについては法的に問題がないということで、既に決着がついている。
(2)web上の記事が何らかの理由で書き換えられる、削除されるといったことに伴う記録の問題と、著作権の問題とでは、分けて考えなければならない。
(3)記事を、個人が記録として保存する分には問題ない。しかし、その保存したものをweb上に公開して共有すると、著作権法に違反する行為となる。

「ウェブ魚拓に対する今回のような対応は、他の新聞社でも普通に行われているのですか」という質問に対しては、「そうだと思います」との回答だったのだが、現時点で確認できている限りでは、他社でそのようなものは見当たらないようだ。そうであるとすると、中日新聞の今回の対応が、今後の各新聞社の方向性に何らかの影響を及ぼす可能性もある。ネット利用者にとっては無視できない重要な問題のはずであり、もっと議論されてもいいのではないか。

ところで、この記事を書いていて思い出したのだが、中日新聞といえば、記者による飲酒運転事件の揉み消しも過去にあった。この記者は、今はどんな仕事をしているのだろうか。
中日新聞記者、飲酒運転揉み消しの背景とは?
中日新聞飲酒運転記者問題のその後



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