テレビ離れの深刻化が叫ばれて久しいが、まだまだ影響力を持つ番組は存在する。

そんな中でも、松重豊演じる井之頭五郎のあまりに食欲がそそられる食べっぷりに、夜食テロとまで言われる深夜ドラマ『孤独のグルメ』（テレビ東京）の影響力は計り知れない。



番組で取り上げられた店には全て通うマニアもいて、取り上げられた飲食店は放送後に行列のできる店に生まれ変わる程の勢いである。

「近所の飲食店に『孤独のグルメ』が来たときは、ウチの店でも話題になりましたね。この辺りはこぢんまりした店が多いからか、放送されてからしばらく経ちますが、未だにその店で食べた帰りに飲みに寄ったってお客さんがたまにいますよ」（ＢＡＲ経営者）

五郎が仕事の合間に立ち寄った飲食店の近所の店にまで、客を運んでしまうのだ。
フードコンサルタント顔負けの活躍ぶりは、まだまだテレビにも可能性を感じさせる。

が、一方でテレビの影響が思わぬ方向へ向かってしまった飲食店も……。

『孤独のグルメ』と同じテレ東で放送されている『出没！アド街ック天国』で紹介された居酒屋経営者は語る。



「放送された月は普段より１００人ぐらい客は増えましたね。でも、結果的に忙しくなるだけで赤字。これも時代の流れだからしょうがないのかな」

テレビの影響で予想以上に客は増えたが、手間ばかり掛かり売り上げは赤字。
なぜだろうか？

「つまみが安い店みたいな紹介をしてもらったのはいいんですが、テレビを観て来たお客さんはつまみしか注文しないんです。あまりに誰も酒を頼まないので、仕方なくワンドリンクはお願いしますって壁に貼りましたよ」

テレビ離れ以上に叫ばれる若者の酒・タバコ離れが、居酒屋なのに『ワンドリンクはお願い』という奇妙な張り紙を生み出してしまったのである。

未だに絶大な影響力があるテレビ業界だからこそ、紹介のされ方にも注意が必要か？



芸能探偵