
「世界に一つだけの花」が日本をダメにした元凶?
SMAPの「世界に一つだけの花」が発売から10年を迎え、再び各所で注目されている。2013年4月9日の西日本新聞は、福岡県の小学校の卒業式での、校長の以下の言葉を紹介している。
「日本は昭和の高度経済成長期、他国に負けないよう、ナンバーワンを目指した。モノにあふれた豊かな国になった。でも、本当の豊かさって何だろう?大切なものを一つ、また一つ失っていないだろうか。みんなは世界に一人しかいない特別な存在。オンリーワンを目指し、胸を張って生きていってほしい」。
3日の東京新聞によると、この歌の発売当時はイラク戦争直前で、「反戦歌と受け止める人も少なくなかった」。教育評論家の尾木直樹氏曰く、「弱者を切り捨てる成果主義」を押し進めた小泉政権への反発も、人気の背景にあったのではないかとのこと。さらに弁護士の伊藤真氏は、「個人の尊重」というメッセージは日本国憲法の精神そのものだと断言する。
一方、競争社会で「自分を肯定してくれ、安心させてくれる材料の一つになった」と指摘するのは、評論家の岸本裕紀子氏だ。その反面、「若者の向上心のなさや現実逃避と結び付け、批判的な解釈が生まれることになった」。過剰な自己肯定、現状に満足して競争に向けて努力しなくなる、といった批判だ。
「日本の高校生の半数以上が偉くなりたいと思っていない」という調査結果を挙げ、「高校生たちは、小学生時代に同曲に触れて育った世代」との指摘も。放送大学の岩永雅也教授は、「ほどほどでいい」という人々の思いをこの歌は代弁していると述べる。また、横並びを好む日本人の精神性とも、共鳴する部分があるというのだ。
記事の最後で同紙のデスクは、「社会に出れば、個性がどれほど尊重されるのか。実際は、ひどい競争社会なのだ」と、この歌の世界観と現実とのギャップを指摘している。
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高橋 
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