●更新日 10/09●


追悼・緒形拳、妥協しない男の生き方の真髄


2008年10月5日、俳優の緒形拳が死去した。
死因は肝臓がんによる出血とされている。

緒形のブログの最後の更新は、9月30日。



遺作となったフジ系『風のガーデン』の撮影終了と記者会見を報告する内容である。
ブログのコメント欄、そして緒形の公式HPに設置された掲示板には、ファンからのたくさんの書き込みが寄せられた。

マスコミでも緒形の死は大きく報じられ、業界関係者らが緒形の俳優としての生き方について熱く語っている。


数多くの作品に出演し、共演者の演技に対しても常に厳しい目をもって接していたという緒形。

しかし、この厳しい姿勢は緒形にとって一つの妥協の結果として形成されてきたものだったことは、あまり知られていないのではないだろうか。

新聞記者から寄せられた情報によると、生前の緒形と話す機会があった先輩記者が、事あるごとに語っていたエピソードがあるそうだ。


「『緒形さんの妥協しない役者としての姿勢が好きです』と先輩が話したら、緒形さんは『役者としての自分は一つの妥協だ』と答えたそうです。先輩はこの返答に戸惑って、どう話を続けていいか困ってしまったと語っていました」(新聞記者)


では、緒形にとって本当に妥協したくなかったものとは何か。

それはズバリ「書」である。



緒形は書展を開催するほどの腕前で、その作品の一部は緒形のHPにも掲載されている。


「緒形さんは元々、書道家になりたかったようです。けれども、プロになれば自分の好きなものばかりを書いてはいられない。それならば、本当に好きなものは絶対に妥協したくないから趣味としてとっておいて、二番目に好きな役者としての道をプロとして歩もう、そう決心したことが役者としての原点だそうです。緒形さんの妥協しない生き方の真髄は、書道にこそあるのでしょう」(同上)


二番目に好きなものを極め、一番好きなものについては絶対に曲げない。
何とも粋な生き方である。

俳優としての緒形に対する評価は言うまでもないが、このような生き方そのものも再評価されてよいのではないだろうか。


享年71歳、ご冥福をお祈りしたい。



芸能探偵



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