酔わせる美声・・平井堅
〜 「楽園」がヒットしなければ引退だった!? 〜


和製R&Bのアーティストとして人気を不動のものにしている平井堅。
先日行われた”ROCK IN JAPAN FES.2003”でも、ロック系のアーティストが多い中、
「実はこういった野外のロックイベントに参加するのは初めてです。しょっぼいバラードばっかり歌って野外コンサート向きじゃないんだけど…」
と謙遜したMCで場内の笑いを誘いながらも、抜群の歌唱力を披露していた。


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▲熱唱する金髪坊主頭の平井堅(RIJ公式HPより画像引用)


平井堅は95年にシングル『Precious Junk』でデビュー。三谷幸喜脚本、松本幸四郎主演のドラマ・「王様のレストラン」の主題歌としてスマッシュヒット。しかし、その後はコンスタントに作品を発表するものの、セールス的には苦戦が続く。7thシングル『LoveLove Love』をリリースし、次のシングル曲『楽園』のリリースまで実に1年8ヶ月の歳月を要した。実際『Love Love Love』をリリースしたものの、セールス的にはあまり芳しくなく、3rdアルバム制作の計画も進んでいなかったのだ。

『楽園』は、それまでのシングル作品とは異なり、作詞・作曲のどちらをも平井堅が担当していない。こういったところにも、ある意味“ヴォーカリスト”として歌に対する姿勢が変化したのかもしれない。シングル曲として自分以外の人が作った曲をリリースする、ということを決意するには複雑な思いと葛藤があったことだろう。

そして、『楽園』を使用したCMが、北海道などの地域限定で流れる。CMには同じ研音の江角マキコが出演。当時絶大な人気のあった江角のギャラを考えると、これは破格のものだった。CM撮影は、多忙な彼女の、わずかなオフを利用して行われたという。
平井堅自身は、もうこれでダメなら田舎に帰る! という決心まで固めていたようだ。その心意気が伝わったからこそ、江角もCMへの出演を承知したのだろう。


写真2
▲CDジャケット。左から『Precious Junk』『楽園』『why』。(平井堅公式HPより)


イニシャル(初回出荷枚数)も少なく、売上も最初の一週間(初動売上)は5000枚にも届かないものだった。しかし、地域限定で放送された江角のCMが話題になるとともに、それに使われている『楽園』も評判になり(CMには江角が『楽園』を口ずさむシーンも)、FM局などには同曲のリクエストが寄せられ、じわじわと火がつき最終的には50万枚を超えるロングヒットとなった。
次にリリースした『Why』もヒット。そして満を持してリリースされた、それらの楽曲が収録された3rdアルバム『THE CHANGING SAME』はミリオンを軽く突破、その人気と地位を不動のものとする。

『楽園』から一連のヒット後、フジで『王様のレストラン』が再放送された時に彼の歌う主題歌を再び聴いて、「えっ? 平井堅ってこんな前から歌を歌ってたの?」とびっくりした人も多いとか…。

その後、研音側は「平井堅がブレイクしたのはウチの力が大きい!」(まあ実際にそうなのではあろうが・・)と、SONY側に数千万のプロモーション料(江角マキコの出演料他)を要求した、しないという話も流れたが
「それはまた 別のお話」。――――(王様のレストラン風に)





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