酒強し 井川遥
〜映画『ｔｏｋｙｏ ｓｏｒａ』〜
ロードショーにあたって舞台あいさつが行われた映画『tokyo．sora』は、石川寛初監督作品。大都会・東
京の空の下で日々生きている６人の女の子の話だ。キャストに選ばれた女優らは、監督自らがその人間性に
惚れ込み口説き落とした女優揃いで一般の映画では見ることのできないような選出となっている。「爽健美
茶‘９６」で出あったという本上まなみに井川遥、強そうでもろい独特の存在感あるという板谷由夏,グル
ープJungleSmileのボーカリスト・高木郁乃と多方面から集結している。
石川監督は、ともさかりえ出演「キリンレモン」や黒沢優の「資生堂 マシェリ」などのCMで女の子の日常
生活をふわりときりとるような映像を特徴としている。
脚本は白紙状態で役者自身から生み出たセリフや動きがそのまま作品となっており、
ある意味演じる役者本人の挑戦ともなる。
東京という町に対する思いや日が坦々と過ぎていくなかでも
何が起こる分からない日常を描き出したかったのだという。
板谷由夏 井川 遥
「tokyo sora」の出演者らはまったく顔を合わせることない中で撮影は進んでいった。
――――アルコールが入り程よい酔いがまわった状態で井の頭通りを走るシーン。
板谷由夏の自宅で撮影されたが井川とはこれが初対面だった。
井川はお酒が強いようで、１本くらいあけたあとようやくうち解けあうことができたようだ。
井川：「日常は決して劇的なことが起きないんですけど、見る人は自分と照らし合わせる部分が
あると思う。じんわりと心の中に残ったり、何年か経ってから映画にあんなシーンみたい
だと思い返すというみんながもっているようなところが見所ではないかと思います。」
本上まなみ
１人で街頭に立ち、ティッシュ配りのバイトを行った。かなりの数量となるダンボール１〜２箱分を行く手
を阻んで配る。歩きゆく人々は携帯をいじっていたり,話していたりで気づかれることも目が合うことも全
くなかったという。
本上：「はじめから東京にいる女のこって実は少なくて、私も含めてみんな何かを求めて東京に
住んでいる。東京にいる時間は長いようで実は短いんじゃないかなって思う。それぞれ自
分の何かを見つけて帰っていくということがきっと誰にでもあるんじゃないかな。一人で
暮らしている女の子が私もこんなカンジだなって思ってくれたら嬉しい。」
仲村綾乃
美大を目指していたことがそのまま映画の中に出てくる。
デッサン画もじぶんで描いているということだ。
以外に気づかず、忘れがちな存在。人として好きになれる人をキャストに選出した。
そして、監督の印象を女優陣がそれぞれ語った。
監督は女の子が好きで女の子について知りたいという思いがすごくある人。
作品の空気感で好奇心をすごく感じた。
〜板谷由夏〜
女の子以上に繊細で女性の心を持っている監督。言葉以上のイメージをもっている。
ふと、こころのなかを覗かれているような。
〜井川遥〜
少女のような。いつもどこかで何かを感じていてくれる。
〜仲村綾乃〜
とてもやさしくてとても頑固な人。自分の好きな世界があっても。
たくさんの長回しでも演技が出てくるまでいつまでも待っていてくれた。
〜本上まなみ〜
役を演じるというより自分自身が出てくる作品になっている。
本上は、モデルからスタートしている昔のことを思い出しながら撮影に取り組んだという。
ほかの仕事どれにも当てはまらないドキュメンタリーのような作品だと語っていた。
情報がまるっきりない中で無理矢理なにかを作っていった。監督はいったい何を求めているのか撮影半ばく
らいで気づかなかったという彼ら。撮影が終わってもいまだ理解できないかんじがあるかもしれない。
「東京でなにもない日々が過ぎていく中でも、何かを感じたり思ったりしていることは
たくさんある。脚本を準備してしまった時点で違うような気がする。先が見えない人た
ちにいろいろと経験をしてもらいたかった。」
〜石川寛監督〜
撮影の合間での些細な会話でお互いを知ってしまうことがないように
こだわりを見せた神経のおかげで、
気づかない間に影響をし合っている微妙な人間同士のふれあいが
さりげないタッチで描かれている。
映像にはまさしくそのままの彼女たちが映し出されているのだ。
『tokyo.sora』
監督：石川寛
キャスト：板谷由夏、井川遥、仲村綾乃、高木郁乃、本上まなみ
長塚圭史、石川伸一郎、坂本サトル、西島秀俊
２００１年／日本／配給：日活+東京テアトル
シネセゾン渋谷ほかにて絶賛公開中
（探偵ファイル）
