●更新日 03/31●






『ドイツ飛行機事故〜副操縦士がうつ病だったとは思えない』 精神科医ヤブ





フランスの山中に24日墜落したドイツの飛行機事故は、副操縦士の故意によるものという結論になりそうだ。彼は直前に精神科を受診し、しかも勤務停止の診断書をもらっていた。さらにその診断書が自室で破り捨てられているのが発見されたようで、ただ呆然とするばかりである。

副操縦士

彼の行為は「うつ病による自殺ではないか」という話も聞くが、おそらくそれは間違いだ。では何だったのか。事故直前の飛行機は「急降下した」ことと、機長がいない隙に副操縦士がドアを施錠したことはほぼ確定している。そして彼は、149人を道連れにして飛行機を地面に叩きつけた。こんな元気なうつ病患者は想像できない。エネルギーがここまでほとばしるうつ病患者なんていない。

自殺にはいろいろな方法があり、うつ病患者の自殺では「ためらい」と「思いきり」の間を揺れ動く姿が目に浮かぶものだ。例えば首つりでは、輪に首を入れては出し、ため息をつき、また首に輪をかける。あるいは飛び降りでは、誰か背中を押してくれないか……、そんなことを考えながら眼下を覗き込んでは座り込む。そこにはなんとも言いようのないわびしさや切なさがにじむ。

ところが、この副操縦士の自殺では「思いきり」だけが目立ち、「ためらい」がほとんど見えない。わびしさや切なさとは無縁で、むしろ壮絶、凄惨といった表現がよく似合う。 同じく壮絶な自殺に「見える」のが統合失調症の場合で、例えば「腹の中に虫がいる」と包丁で腹を裂き、腸をズルズル引き出した患者がいた。同じく「頭の中のスピーカーを取り出す」ため包丁を頭に突き立てた人がいた。どちらも自殺目的ではないが、事情を知らないと自殺に見える。

では本件のように大々的に周囲を巻き込む人は、どんな精神疾患なのだろう。私は「情緒不安定性パーソナリティ障害」だと考える。一般には「ボーダー」として広く知られており、過量服薬やリストカットをする若い女性というイメージを持つ人が多いが、実際には男性にもいる。「死ぬ死ぬ詐欺」と揶揄されることもあるが、自他に対して非常に攻撃性の強い自殺行動をとる人もいる。またこの障害があっても社会的に高い地位についている人はいる。彼はボーダーの中でも、特に衝動性・攻撃性の強いタイプだったのではなかろうか。 正解は永遠に闇の中だが、このニュースの続報を見るたびに、精神医療の無力を思い知らされる。



ヤブ ヤブ


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