●更新日 06/26●







「ヒマワリで被災地復興」が新たな危険を招く?





ヒマワリには、土中の放射性物質を吸収する効果があるという。



そのため、原発事故によって汚染された農地の土壌を改良する方法として、注目されている。しかし、いくつかの疑問点がある。それらについて、農林水産省の農林水産技術会議事務局技術政策課に取材した。



被災地では、飯舘村の15アールの畑で実験が始まった。
ところが、放射性物質を吸収したヒマワリの処分方法は決まっていない。
一つの可能性は焼却だが、それによって放射性物質の濃度が上がる。そのため、放射性物質を拡散しないで焼却する設備の開発を検討している。


現地の農家でヒマワリを育てた場合は、吸収した放射性物質の量次第で、通常のゴミとして処分してよいかどうかを判断する。その許容レベルを、どのくらいに設定すべきなのかということは、今回の実験結果に基づいて決める。

ヒマワリが咲いた後には、種ができる。これは、野鳥の大好物だ。
放射性物質を吸収したヒマワリから採れる種を野鳥が食べることで、食物連鎖上の悪影響は出ないのか。



農水省では、種の用途を検討中で、放射性物質の種への移行量を研究するという。移行量が少なければ、種から油を採取する予定だ。油として使えるのならば、野鳥が種を食べても問題はないだろうという。とはいえ、人間と比べて体が小さい野鳥では、その影響は人間と同程度と言えるかどうか。

この問題を、日本野鳥の会の自然保護室にも聞いてみた。同会が農業関係者から得た情報によれば、放射性物質は種には移行しないらしい。セシウムは水によく溶けるが、油には溶けないためだ。
とはいえ、実際に安全かどうか、種を収穫して慎重に調べる必要があるという。

ヒマワリ畑の構想や、種を現地へ届ける運動にはマスコミも好意的で、様々な機会に紹介されてきた。だが、成長したヒマワリの処分方法は決まらないままだ。
有効な処分方法がない場合、見切り発車とも言える状況は、あまりにも危険だ。


高橋




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