●更新日 06/10●







ユッケ食中毒事件の肉屋、その意外な現状





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入り組んだ狭い路地を進んでいき、大和屋商店の板橋営業所に辿りついた。

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辺りは暗く、人通りも少ない。入口の戸は閉まり、業務に使用していたと思われるケースが山積みになっていた。室内の電気は全て消えていて、建物の中には人の気配もない。試しに外から声をかけてみたが、何も反応はなかった。

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翌日、店に電話をかけてみた。だが、営業所の電話番号は、既に使われていなかった。「ミートラボラトリィ」という業者名でのネット通販に使われていた番号も、解約済みだった。また、本社の電話は、呼び出し音が鳴り続けるばかりである。


そこで、この会社の現状について、板橋区保健所の生活衛生課に尋ねた。今回の件で、大和屋商店は営業禁止などの処分を受けているわけではないという。そのため、現時点で店が営業しているかということや、その規模については、保健所では具体的には把握していないそうだ。

そもそも、死亡者まで出た事件で、肉の卸売業者の責任をどのように位置づけているのか。担当者によると、食中毒事件での行政処分の目的は、被害拡大の防止であるという。「要は処罰的なものではございませんでですね、あくまでも衛生上の措置っていう観点から行政処分を行うんです」という。

食中毒事件に関する行政処分の判断では、原因となった食材を調理して提供した者に責任の所在があると見なすことが通例であるとのこと。ユッケとしてそのまま使えるくらい細かく切り刻む、調味をするなどして、食べられる状態にまで加工していたとなると、大和屋商店の責任が問われた可能性もあるという。しかし、そうした実態は確認されなかったため、処分には至らなかった。

本社と営業所という二つの施設は、どのように使い分けられていたのか。保健所の担当者の話では、焼肉酒家えびす等に出荷された肉の加工を行っていたのは、本社だったという。営業所も精肉卸売業の営業許可を持っているが、こちらは牛以外の肉の加工 を行っていたらしい。ちなみに、通販サイトに記載された住所は、本社と同じだ。

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激安価格で販売される大和屋商店の肉を、多くの飲食店が利用してきたという。今回の事件では、「安ければよい」という風潮の危険性を、消費者は思い知ることとなった。

「安物買いの銭失い」という言葉があるが、得体の知れない安い肉を食べると、銭どころか命まで失いかねない。



高橋




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