●更新日 04/11●







「産経の報道は事実無根!」福島県が怒りの反論





「福島県産の牛乳は本当に安全か」。
そんな不安の声がネット上に飛び交った。

「産経の報道は事実無根!」福島県が怒りの反論

きっかけは、産経新聞が2011年4月9日に配信した記事だった。7日に福島県が実施した4回目の検査で、暫定基準値以上の放射性ヨウ素及びセシウムは検出されなかったと報じている。この記事が注目された理由は、他社の記事には見当たらない以下の一文である。

「県によると、今回から検査方法を改め、前回(3月29日)に暫定基準値を下回った市町村の原乳は戸別検査をせず、県内10の乳業メーカーなどが、他の市町村産と混ぜた後の原乳で測定した。」

「産経の報道は事実無根!」福島県が怒りの反論


4月10日、この件について福島県農林水産部生産流通総室畜産課に取材を申し込み、話を聞いた。担当者は開口一番、「誤解を与えるというか、悪意に満ちた記事なんですよね」と述べた。出荷制限解除の対象となった会津地域は、原子力発電所から最も遠い地域であるという。

県による最初の検査は3月19日に行われたが、それ以前に原発事故の直後、厚生労働省による抜き打ち検査が実施された。ここでは、農家ごとに個別に原乳を採取するという方法がとられた。すると、原発に近い地域で暫定基準値を上回る値が出た。

以降、県による検査が始まったが、採用された方法は厚生労働省とは異なる。市町村ごとにサンプルを採り、検査するというものだ。3月29日に実施の3回目まで、この方法が適用された。その結果、会津地域では暫定基準値を上回る結果は一度も出なかった。

4月4日、国の原子力災害対策本部から出荷制限解除に当たっての方針が表明された。それは、農家を回って原乳を回収し、各市町村のクーラーステーションに集めるというものだ。そして、クーラーステーション単位で検査を行い、基準値を上回らなければ、出荷制限を解除するとした。検査の結果、会津地域は問題なしと判断され、解除に至った。

「産経の報道は事実無根!」福島県が怒りの反論


産経の記事が紛らわしいのは、「今回から検査方法を改め」という表現だ。3月29日の検査は、県が採用した方法で実施したものだ。そして今回の検査は、国が示した方針に基づいてなされた。つまり、県が勝手に検査方法を改めたのではない。また、農家ごとの検査を行ったのは厚生労働省であり、先述のように県の検査方法は異なる。

ところが、産経の記事を読んだ人々の多くは、異なる印象を受けたようだ。県の担当者は言う、
「あのような書き方をされちゃうと、一般の人には『何か悪いものと混ぜて薄めたんじゃないか』っていうふうに誤解されちゃって、今日もだいぶ電話がかかってきてですね…」。

なぜ産経だけがあのような書き方をしたのかと、担当者は疑問視している。

産経の記事では、3月29日以降は入念な検査を行わないかのように読める。県の担当者によると、今後も1週間ごとに調査を継続するとのこと。

県では、今回の問題を農林水産省へ相談し、
産経へ抗議するように依頼したという。



産経は、果たしてどのように対応するのだろうか。




高橋




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