●更新日 04/03●
「ただちに健康に影響はない」とは?衝撃の真相
「ただちに健康に影響はない」。
福島の原子力発電所事故以来、幾度となく使われている言葉だ。専門家や政治家が繰り返すこの言葉は、実に曖昧である。その具体的な意味を、各方面に取材した。
この表現に関して気になるものの一つが、東京都健康安全研究センターがHPで公開している内容だ。都内の環境放射線の測定結果について解説したページに、以下の一文がある。
「被ばくした放射線量が100,000マイクロシーベルト以下では、ただちに健康に影響を及ぼすことはありません。」
「ただちに」とは、具体的にどのくらいの期間を指すのか。同センターに取材し、この点を尋ねた。すると、担当者は「ちょっとお待ちくださいね」と言って、電話は保留状態に。内部で確認を取っている様子だった。
そして数分後、驚くべき回答が。
「申し訳ないです、ここに記載してある文言についてはですね、国の文言を参考に書かせて頂いておりますので、これについてはですね、医学的なことについては、放射線医学総合研究所に聞いて頂いた方がいいかと思うんですね。」
なんと、東京都健康安全研究センターでは、
具体的な期間を自分たちでは定義しないで、
「ただちに影響はない」と断言していたのである。
事実上、国に説明を丸投げしていることになる。
これは、研究機関の公式発表の在り方として、とんでもない話だ。
そこで、放射線医学総合研究所に取材し、この点を尋ねた。質問項目を文書で送信したところ、後日、研究所に所属する研究者からの回答が届いた。以下に、回答内容をそのまま掲載する。
「直ちには、急性影響がでないという意味で、一時的不妊の発現は、3-9週、造血系の機能低下は、3-7日、皮膚障害や一時的脱毛は、2-3週間であるので、遅くとも9週以内に発症する。よって数ヶ月と考えれば良い。」
この解釈に従うならば、「ただちに」とは、数カ月の期間を想定したものと理解してよさそうだ。
逆に言えば、もし100,000マイクロシーベルトを超える放射線量ならば、わずか2〜3カ月以内に影響が出る危険性もあるということだ。
「被ばくした放射線量が100,000マイクロシーベルト以下」ならば、というのは、体外被曝を想定しているのだろうか。それとも、体内被曝を、あるいは両方を含めた合計の数値と考えてよいのか。この点については、以下の回答があった。
「放射線量が実効線量であれば、体外被ばくでも体内被ばくでも足し算することが出来る。両方を含めた値である。」
「ただちに健康に影響はない」という言葉を、どう解釈するか。
とりあえず今が大丈夫なら、現状を維持するのか。状況が悪化して、いずれ起きるかもしれない事態に備えて対応するのか。
全ての選択は、私たち一人一人の判断にかかっている。
高橋
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