●更新日 02/12●
[通り魔予告]その時、新宿では?
「2011年2月11日午後9時、新宿駅南口の広場にて無差別殺人をする。絶対にやる――」。2月8日、2ちゃんねるに書きこまれたこの殺人予告へのネット上の反応は様々だった。「またか」「どうせやらない」「いや、予告だけで逮捕されるのは周知。本気だ」
そんな時、ある男が立ち上がった。
通り魔野郎かかって来いや!
新人記者・松尾。なんでも「通り魔のナイフは俺が全て受け止める!」とのことだ。撮影係として私(ニノマ)が同行した。念のため私は、
腹にジャンプをいれたが、
松尾は丸腰だ。それどころかお腹が痛いなどという。
「実は下剤を飲み過ぎました。ほら、ナイフで腹を刺されたときウンコが腸内にあると、後で路上を掃除する人が大変でしょ。下剤を飲んで腸を空っぽにしたのです」
あ、この人頭いっている。
午後8時。
駅周辺は警察が溢れ、緊張感が漂っていた。
意外なのが、通行人の多さだ。新宿を避ける人が多いかと思ったのだが……。
午後8時30分。
驚くことに、殺人を見物に来た、と明言する人々が多い。
いえーい。
いえーい。
下の彼女たちは中学生だという。通り魔が怖くない?と尋ねると余裕っすよ!と即答された。また、ニコニコ動画で中継する者もいる。
まるでお祭り気分だ。下手をすれば自分が殺されてもおかしくないというのに、危機感の希薄さに違和感を覚える。
そして、運命の午後9時がやってきた。
……何も起きない。普段と変わらない新宿の風景だ。
10分が過ぎた。何も起こらない。
20分。やじうまの少年たちが「ちゃんとやれよ!!」と絶叫して退散していった。
30分。制服警官を残し、刑事がひきあげ始めた。
……事件は起こらなかった!
愉快犯だったのか。松尾は悔しがっていた。気持ちはわかる。多くの警察の方々が振り回されたのだ。人死がでなかったのは喜ぶべきことだが、犯人の行為は許されることではない。
「ちくしょう、なんで現れないんだ!俺の腹をかっさばいてくれよ!ああああああ」
ああ、駄目だ、こいつ。
というか、犯人がやるつもりでも、現場には辿りつけなかったに違いない。
我々が受けた職務質問、実に12回!
日本の治安は安泰です。
松尾 ニノマ
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