大島氏逮捕につき、関わった者としてモノ申す

SFCG大島さん。会社潰したのに２６７０億円を隠して逮捕。ちょっとやり過ぎた。しかも渋谷の豪邸で逮捕だなんて。てっきり差し押さえられてたと思ってた。まだあそこに住んでましたか。
経営者が復活を期すために財産を隠すことはよくある話だけど、大島さんはやっぱりやることがケタ違いだ。でも今回は息子も捕まったし、復活に時間がかかるだろう。逮捕されても金は没収されないから覚悟の上だったと思うけど。

大島さんから出資したいと持ちかけられた遠い昔を思い出す。
うちは借金ないし出資されても使い道ないからと何度も断った。でも「探偵業として上場しないか。今まで誰も出来なかったことに挑戦してみないか？」と再三誘われ、面白いかもと１億円の出資を受けた。使い道が無くてそのまま銀行に塩漬けだったけど。
「子会社の会議が毎月１回あるから、必ず出席してくれ。」
うちは子会社じゃないんだけど。大株主は俺。まぁいっかと思いながら出席した。
異様な雰囲気だったな。犬が飼い主に怒られているみたいに首がすくんだ人ばっかりで。俺だけ椅子にもたれ、足を組んで大島さんの登場を待った。
すると、席に着くなり私に向かって

君、何だその態度は！！

びっくりした。３００dBくらいで鼓膜が破れるかと思った。
２０人くらい子会社（正真正銘、大島さんが大株主）の社長がいたが、順番に業務報告をさせられていた。その都度、大きな罵声を浴びせられ「バカッ！」を連発。社員はパソコン投げつけられたり、窓を開けて「今から飛び降りて死ね！！」とよく言われていたからそれに比べれば随分マシな会議だったけど。
俺の番になった。自分だけかな。書類も何も持ってかなかったのは（笑）。「あー業績は好調です。上場の準備やってます。」他の人達の売上より当時のうちはダンチだったので何も怒られなかった。
それからしばらくして
「債務者で逃げたやつを追いかけてくれ。」
やりたくなかったのでひとりにつきン十万の見積もりをFAXで送信した。事前に仲の良かった専務（あとでクビになった人）に「社長は３万円くらいだと思ってるから断わりたいなら倍くらい言っとけばいいよ。」と耳打ちされたけど、倍でも出来ないぞっと。
怒られるかなと思ってたら何の応答も無かった。今でも不思議だ。

印象に残る出来事はたくさんあったが、一番は
「君は企画力が凄いからうちの担当部長になってくれ。で、明日上野に来てくれ。」
部長職は丁重にお断りして上野に行ってみたら大島さんの父親が経営するパチンコ屋の隣の広っぱに連れて行かれた。「ここはどんな商売がいいかな？」と問われ、適当に答えたらえらく感心された。違う日に今度は鶯谷にあるダンスホールに連れて行かれた。真ん中が大きな吹き抜けで確か５階建てのでっかい廃墟。ここも父親の持ち物だった。
「再開発を頼む。」１円もくれないのに次から次へと企画の依頼をされた。
ここまで書いたら読者は『どうしてBOZZはそんな人の言うことを聞くんだよ』と思うだろう。答えは簡単。織田信長を自負する人の生き方を見てみたかったから。不謹慎かもだが面白かった。
俺はダンスホールを徹底的に調べた。人の流れや建物の老朽化問題など。結論を出して報告した。
「鴬谷でいくら若者向けの施設を造っても集客出来ませんし、第一、社長の言われた予算では無理です。」
返事は「そうか。」だけだった。俺のとんでもないマジックでも期待してたのかな。





翌月、大島さんからうちの株を５１％持ちたいと電話があった。忘れもしない、俺は出張先の仙台のバッティングセンターにいた。
「社長、すんません。子会社は絶対嫌なので納得してくれないのなら出資関係を清算したいんですけど。」
電話の向こうの大島さんの怒声が大き過ぎて何を言ってるのかさっぱり聞こえなかったが、とにかく無事に関係を解消した。この人、俺に金を貸したつもりだったんだなと思う。貸借関係と出資関係を最後まで誤解した人だった。
うちのビルが大島氏の抵当に入っているとか同業者にデマ飛ばされた日々が懐かしい。そんなの登記簿見れば一発で分かるっつーの。まぁデマはどこまでいってもデマのままなんだが。

でも、大島さん。あなたと知り会えてよかった。純粋に楽しかった。あと数年したら復活すると思うけど、今度は社員の録音に気をつけること。探偵として助言したいことは山ほど（笑）。
それから、テレビのあなたヒール過ぎ。飼い犬に松坂牛とか。一体誰がチクったんだろうね。飼い犬に噛まれるとはよく言ったものだ。

大島さんの会社からお金を借りて成功している人もたくさんいる。当時は銀行も国も貸さなかったから。今でも感謝している人間が俺の周りで何人もいるよ。金融は悪じゃ無い。要はやり方だ。





清濁。　　BOZZ