●更新日 01/22●
派遣村運営の闇 〜生活保護ビジネス
2010年年越し派遣村は、東京都が社会福祉法人・やまて福祉会に運営を委託して行われた。
金の流れとしては、まず、やまて福祉会がすべてを支払い、その後まとめて東京都へ請求する。そして東京都は厚生労働省へ請求する。
派遣村終了の1月18日までにかかった費用の発表はまだされていない。
委託理由
東京都福祉保健局・生活福祉部・計画課長の早川氏によると、「やまて福祉会は福祉に関してのノウハウが長けているという理由で2009年派遣村の運営を委託した。」「そして、2009年の派遣村で利用者が急に増えた時にトラブルに関しての対応・機動力がよかったため、2010年、今年の派遣村でもやまて福祉会に委託した。」とのこと。
やまて福祉会についての調査を行うにあたり、数回にわたる訪問や電話取材を「忙しい」の理由でことごとく断られた。独自調査に移る。
やまて福祉会の現代表は谷口智子(やぐちともこ)氏。
登記簿に表記されている住所には住んでいない。
数日の調査の結果、姿は確認できなかったが30代ぐらいの女性とのこと。
谷口氏が代表に就任したのは平成19年7月。以前は、磯一昭氏が代表を務めていた。
現在、磯は豊島区区議会議員として活動している。
社会福祉法人・やまて福祉会について
中高年事業団やまて企業組合として昭和50年より運営。今では都に何箇所も施設を運営しており、福祉業界では有名な団体である。
平成17年3月に社会福祉法人やまて福祉会を設立。今回、派遣村を委託されたのはやまて福祉会の方である。
やまて福祉会の実態が見えてこないので、運営しているやまて寮を調査。
入所者は生活保護受給者や体の不自由な人で、3食つき更生施設である。
複数の利用者の聞き込みにより、月に10万円程度、施設費として生活保護から引かれているという事実が判明。
受給者
受給者の手元には実質1〜2万程度のお金しか入ってこない。
やまて福祉会は“第二種社会福祉事業”であり、“生計困難者のために、無料又は低額な料金で、宿泊所等を利用させる事業を経営”と登記されている。にも関わらず10万円は高額と感じたため、生活保護費搾取の“貧困ビジネス”を想定に入れ調査を進めた。
生活保護には、様々な形があり受給者によって異なってくるため、60代男性、単身、更生施設を利用している生活保護受給者の場合で新宿区役所・福祉事務所に取材した。
一般的な生活保護は住居費・生活費と分けられて支給される。しかし、更生施設を利用している人に関しては、別で全く違うシステムになる。
ひとりあたり大体12〜13万程度の総額が支給される。入所保護基準は68,050円、この中には食費、雑費等が含まれる。そして、施設にかかる費用。施設の運営費・スタッフの人件費なども加算され、これが施設によって異なるのだ。
都内であれば土地代などでその分費用がかかるであろうと言う。68,050円を含めて多いところで10万以上する施設もあるとの証言を得る。そして、受給者本人には嗜好費(小遣い)として手取り1〜2万円程度が支給される仕組みだ。
搾取するのあれば、施設や人件費にかかる費用の部分であると予測する。(例としてやまて寮はスタッフにフィリピン人を雇用している。)
こういった施設に関して新宿区役所は「施設費は施設側の設定に任している。法律にいくらが低額であるとは定められていないため、基準以内であれば問題ない。」と話す。
同、新宿区役所は、生活保護に関して「もともと生活保護というのは性善説に基づいたものであると思っています。悪意を持って生活保護を使って遊んで暮らそうという人がいるなんてあまり想定していません。就労できるにも関らず、生活保護費を使ってだらだら暮らす方がいるなんて話はほとんど聞きません。いた場合は、ハローワークへ行くことを勧めたり、就労支援をします。」「悪質な方がいれば廃止もしますが、過去に廃止をしたという話もほとんど聞きません。」「それと、こちらの事情を話しますが、ひとりのケースワーカーが100人を担当しているため、きめ細やかなサービスや、頻繁な面接ができないという現状もあります。」
やまて寮が生活保護費を搾取していると断じるわけではないが、行政(東京なら区役所)の監視が緩いのは明らかだ。生活保護受給者も、それを知ってか働く気もなく日中ぷらぷらしているのが現状である。
ある受給者の生活保護の通知書。※ クリックで拡大。
先日も無料低額宿泊所「FIS」を運営する事業者が脱税容疑で名古屋国税局に告発された事件があった。まだまだ氷山の一角でしかなく他にも血税を不正に搾取して私服を肥やしている任意団体・社会福祉法人も多いのではないか。
行政側のチェック機能がほとんどないのが現状で、昨年の11月にやっと厚生労働省がチームを立ち上げ、調査を始めたばかりである。
BOZZ
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