●更新日 01/16●






生活保護の使い道 in 西成 その2




>>その1

大阪府西成区あいりん地区は特殊な街だ。

 真冬にタオルを身にまとい闊歩する男性

治安は極めて悪い。時折暴動が起こり死傷者が出たり、街角で覚醒剤が買えたりする。だが、その住民にも当然のように生活がある。

 職安の奥には通称“泥棒市”が広がる。

あいりんでは1日1000円で十分に暮らせる。ドヤは安いもので700円。NPOの炊き出しがあり、コンビニの廃棄弁当を100円で売る屋台もある。住人の中には「天国」と呼ぶ者もいる。

 標準的な一泊1200円のドヤ。2畳で空調はない。

生活保護受給者の福祉アパートに住む元金属加工職人の館脇さん(55・仮名)が完全匿名を条件に取材に応じてくれた。

 男性が住む福祉アパート。家賃は月45000円。

彼の受給額が月額12万円程度。就労可能年齢であり、ハローワークに通っている。現在は糖尿病を煩い、食生活は質素だ。ほとんどの生活保護は、パチンコに消える。「なかなか勝てない。次の受給まで2週間あるが、2000円で過ごさなければならない」と頭を掻く。ハローワークでは就労するように勧告されるが、その意志はない。「就労しない言い訳で一番いいのは『耳が聞こえない』ということ。調べようもないし、便利や」。罪悪感はないのか。記者の質問に彼は「俺らはこれがないと生き延びられんからな…」と歯切れが悪そうに語った。

住民にとって生活保護のもうひとつの使い道は、酒だ。数百mごとに酒の自動販売機があり、そこかしこの路上で清酒や焼酎をあおる人々が見受けられる。彼らの多くは65歳以上。就労する義務から解放され、生活保護のもと、死ぬまで酒を飲み続ける。館脇さんは語る。「俺は糖尿で酒が飲めん。だから金がなくなれば 1日中TVを見て過ごす」彼の部屋では終始TVが流れていた。この街、この部屋から眺めるTVの世界は、ただひたすら華やかで、そしてどこまでも空虚に見えた。その画面に映るものほぼ全てが、彼らの生活と関係のないものなのだ。



ニノマ





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