●更新日 02/09●


「使い捨て」にされる大学職員の境遇


雇用問題の解決の見通しが立たない状況が続いている。近年は大学でも職員の雇用状況が大きく変化し、国立大学法人となった大学は、特にその影響を受けてきた。京都大学での非正規職員の一斉解雇も、先頃報じられた。



国立大学の非正規職員A氏の職場では、6人のうち正規職員は半分で、3年サイクルで異動になる。そのような現場での即戦力として、非正規職員が業務を主に担っている。この職場でも、いずれ京都大学と同様の事態になると予想されている。

非正規職員をまとめて解雇した場合、残った正規職員だけで業務を担えるかというと、疑問であるとのこと。仮に新たな非正規職員が着任しても、業務に慣れていないため研修から始めることになり効率がよくないと、A氏は指摘する。

人材管理に関しても、同氏は問題を提起する。獲得した外部資金の運用を担当するのは、管理に関する知識が皆無に等しい係長であるという。係長を補佐するのも、そうした実務経験がない非正規職員である。彼らは深夜まで残業し、休日にも出勤しているそうだ。

東京大学の非正規職員B氏にも話を聞くことができた。同大でも非正規職員への依存度が高く、直接雇用ではない派遣職員も見られるという。同大も京大同様、法人化後に採用された非正規職員の更新年限は5年で、今のところ契約更新の予定はなさそうであるとのこと。職員組合は、更新年限の撤廃を求めている。



派遣会社からの出向というケースは、私立大学にもある。都内の私立大学に勤務していたC氏は、契約更新がなされないという条件で採用された。所属先の部署は少人数で、係長だけが正規職員だった。係長の仕事はほとんどなく、一日の大半は椅子に座っているだけ。暇になると、ネットサーフィンを他の職員らの前で堂々と楽しんでいた。

係長は夕方の定刻に帰宅するが、C氏ら非正規職員はほぼ毎日、残業に追われていた。一部の教職員からの理不尽な要求にも、苦労させられたそうだ。概して、そのような要求をするのは、企業や政府の高い地位から大学教授に転職した人物であるという。些細な用件でも、深夜に遠慮なく職員の携帯電話に連絡してくることもあった。

これらの事例では正規職員が非難されているが、安易に一般化はできないと、B氏も強調していた。だが、一方でこのような実態が各所に見られることも事実だ。雇用のあり方と並んで、適切な人材管理及び配置が、ますます重要課題になっていくと思われる。




高橋



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