●更新日 01/21●


事故はある日、突然に 後編


前編の続きです。



示談をするにしても算定する書類を送ってくれ、と伝えてきた書類は不適切。突っ込んだら様相が変わり、上記のようなファックスが毎日届くようになってしまった、AさんとBさんの事故。

会社には毎日のように電話が来たそうですが、Aさんも現場作業に出ているため連絡が付かなかったのが苛立ちを募らせたのでしょうか。本人と話しても仕方がないと思ったのかも知れません。ある日、このようなファックスが会社宛に届きました。



汚い字で殴り書き、間違えた箇所をぐじゃぐじゃっと消しているだけ。酒でも飲みながら書いたのでしょうか。

このような文書、中々見る機会がありません。

「私くし(わたくしくし)」という誤字もさることながら、慰謝料6ヶ月で1ヶ月10万、計60万円。
示談金10万円で合計87万6千円という数字、一体どこから算出されたのか分からない内訳も見事です。

この時、Aさんの会社側は「払うにしても、もっと細かい内訳の請求書を出して貰わないと、協議をかけることすらできない」と伝えました。

それに対してきた返答がこれ。



「会社に精述」?? 
何を言いたいのか分からない上に、内訳を出せと伝えたことが一切書かれていません。

また、銀行名を間違えるなどという、請求書としてあり得ない誤字を起こしている始末。


そして、その間も、Aさん本人には届く怪文書。



ここまでやられたら犯罪として逆に告発出来るのではないか?という考えを持つ読者さんもいるかもしれません。

ですが、際だって脅迫しているわけでもなく、正常な業務が妨げられるくらいの電話やファックスが届くわけでもないならば、告発はしても無駄。

しかし、このような文書が届いたり、毎日「いつ金払うんだ。いつ示談するんだ」という電話が掛かってくれば、その者の心は疲弊します。実際、Aさんは心を病んで入院してしまいました。



その後、第三者を代理人に立てて交渉を委任。

「裁判で決着を付ける」

「今までの期間、延ばしに延ばしてきたAの責任は問わないのか」

「少しでも示談金として出して貰わないと、納得出来ない」


代理人とBさんとの間でも揉めに揉め、結果としては2万円で示談。(その2万円も会社が払いました)

解決するまで、実に1年以上の期間を要したのでした。

このように、任意保険に入っていないと、多大なる労力をかけて解決しなければならない程に揉めることが往々にしてあります。

※今回の場合も、Bさんは被害者であり、仕事を休業したのも事実だし、怪我をしたのも事実。自賠責の適用範囲内だけでは納得出来ないから補填してくれというのは、被害者として当然の権利であるとは思います。


特に、今回のAさんのように精神に失調を来してしまうと、正常な状態に戻るまで一体どれだけの時間が必要になるのでしょうか。

事故を起こしてからでは遅いです。いつ被害者&加害者になるか分からないのですから、ドライバーの皆さんは任意保険に必ず加入した方が良いと書くのは、決して大袈裟ではないでしょう。



山木



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