●更新日 12/03●





探偵は裁判員になれるのか



自分に召集令状が来た!と書くと厳罰に処せられるのでそれは置いといて、素朴な疑問として探偵が裁判員になった場合に持前の調査力を使って冤罪の逆転裁判が可能かどうか、東京地方裁判所の広報に訊ねてみた。もちろん探偵らしく、「探偵」と名乗らないで。



もし裁判員に選ばれた人が個人的に捜査を行って証拠を見つけたとすると、それを審理に役立てるとことは可能なんですか?
裁判員制度で扱われるのは刑事事件のみです。被告人を裁判にかけ、訴追するのが検察庁。対して被告人を弁護するのが弁護人。どちらも法律や調査の専門家です。
そういった中で、民間の方が自分で調査し、役にたつ証拠を得るなどという状況は到底考えられないでしょうね。
しかし裁判員に選ばれた人がその事件に思い入れ、自分で捜査した結果、偶然にも重要な証拠を入手する、といった状況もあるかと思いますが?
まあ、時にはそういう探偵の真似事をする人もいらっしゃるかも知れません。しかし、基本的に裁判は提出された証拠のみを元に争うものです。
マスコミの情報やその他の情報もありましょうが、そういったものに左右されず、法廷に提出された証拠のみをもとに判断する。そのために、複数の人が裁判員として立ち会うのです。
それに、捜査機関が調査した以上の証拠が出てくることはないでしょう。民間の方がそうして集めた程度では、整合性が取れない、あてにならない証拠しか集まらないと思われますよ。腕利きの探偵じゃあるまいし。
万一、重要な証拠を見つけることができたとしたら、それをどのように役立てればよいのでしょうか?
それが法廷に出されるかどうかが、まず問題になるでしょう。
ですから、もし仮に重要な証拠が入手できたとしても、それはあくまで一個人が入手した証拠という扱いになります。
そして、あなたが検察か弁護人どちらかに情報を提供し、それが法廷に出されたとしたら、それを審理するという形になります。
法廷はあくまで、検察や弁護人が出した証拠のみを審理する場所なんです。
裁判員自身が証拠を出すということはあり得ないんですよ。
話は変わりますが、アメリカの陪審員制度などでは、陪審員を買収して裁判を有利にするというような不正がありますが。
恣意的に裁判員を身内で固めるということはありえません。
無作為なくじ引きで選ばれますし、選ばれた人が被告人の関係者ではないかということも本人に確かめます。
あと、過去に同じような事件を体験された方などですと、いろいろ思い入れもあるでしょうから排除させていただくこともあります。
類似事件を体験された方も排除対象になるわけですか?
そうですね。思い入れが強すぎる場合があるかも知れませんから。
あと、過去のことを思い出して精神的に苦痛であるといったことであれば、排除させていただくこともあります。
それらは、自己申告ですか?
自己申告です。
本人が申告しなければ分からないわけですか?
そうです。
じゃあ例えば、痴漢によくあう女性が強姦殺人事件の裁判員に選ばれて「こいつ、絶対死刑にしてやる!」と心に決めて裁判員を務めようとしていてもいいわけですね?
それは極端な例だと思いますが(笑)




裁判員を買収するのは簡単。マフィアのように裁判所から尾行するだけだ。
他にも裁判員制度そのものに様々な問題が噴出しそう。
裁判員の中にプレゼンテーション力に秀でる者がひとりいれば、逆転裁判は可能。ぜひ一度、裁判員になってみたい。


金田一少年の事件簿 公式ガイドブック
BOSS(渡邉文男)共著 / 講談社 1995年







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