●更新日 11/30●


救急医療医師が語る!患者たらい回しの原因


妊婦に老人、急病人…早急に治療が必要な状態にも関わらず、搬送先の病院で専門医の不在やベットが空いてないなどの理由で受け入れを拒否され、病院を何件も"たらい回し"にされたあげくに死亡する患者の話を頻繁にニュースで耳にする。

その原因のひとつとして、医師不足や医療体制事態に疑問を投げかける声もある中、現場の医師にこの問題について直撃してみた。



都内の救急医療センターに勤務し、過去には地方での救急医療センターでの勤務や、ドクターヘリ導入事業などにも携わってきた彼はこう語る。

― 病院たらい回し問題には、色々な原因があります。まず第一に患者自身の問題で、妊娠しているにも関わらず検診等を一切受けず、いざ出産と言う段階になって初めて胎児が危険な状態である事がわかり、大きな病院に搬送される場合や、病院で検査を拒み、無理をして危なくなってから搬送される場合も一緒です。この場合、病院は患者のデータが何もない状態で早急に処置をしなくてはいけなくなります。それで、患者がアレルギーをもっていた薬を使用してしまったり、検査中に容態が急変してしまった場合は、病院は医療ミスとして責任を取らされる事になりますから・・・。

更に、彼は地方では患者のたらい回しは起こらないと言う。

―たらい回しが"出来る"のは、ある程の医療施設の数がある都心部だけです。地方になってくると県内に本格的な治療ができる大病院は一つだけしかない事などが多いですから。なので、患者さんの家族もその病院を信頼してくれますし、我々もそれに応える為できるかぎりの治療は施します。
他の病院なら助かったかもしれない!と責任問題に発展するのは、病院を選べるからこそと言うのもありますね。


数多くの病院がある為、うちじゃなくても別の病院が…そんな考えが病院たらい回しを引き起こすのだろうか?

― (患者自身が)病院を選択できるというのは、病院側にとっては選ばれる立場になってしまうと言う事です。もし、危険な患者を受け入れ死亡させてしまった場合は、適切な治療を施し医療ミスが無かったとしても、"患者を死なせてしまった責任"を取らなければいけなくなると言う事です。それが遺族による病院に対する賠償金の請求であるか、メディアによるバッシングであるかはわかりませんが、どちらにしろ病院の名前は汚れてしまう。選ばれる以上、ある意味で病院のイメージを守りたい上層部としては、リスクのある患者は受け入れたがらないでしょうね。

受け入れを拒否され、たらい回しにされる患者は病院に拒否されればされる程、時間が経過して死亡率が上がる事から、どんどん受け入れが厳しくなっていくと言う。
医師は最後に、現場は本当はすべての患者を助けたい…だが、その為には医師不足は医療設備を整える事より、先に病院や医師を"守る"為の法律も必要だと締めくくった。

その為には、患者となる私達自身もこの問題を病院だけの責任とせず、医師や医療体制への理解や
病院との信頼関係を築く事が重要となってくるのかもしれない。



あさみ




◇上記のタグを自分のサイトに張ってリンクしよう!


探偵ファイルのトップへ戻る

前の記事
今月のインデックス
次の記事