●更新日 10/09●


見えない住所/アンジェラ苦戦する


前回まで @ A


(あたしって、こんなにも『地図の読めない女』だったのね……)
涙目になりながら、街を歩くアンジェラであった。



とある住所を目指しているのだが、新米探偵である彼女は「地図を見て目的地へ行く」という行為に慣れていない。どうしても目的の住所へ行き着けず、この界隈をもう30分もうろついているのだ。


Nさんから300万を騙し取り行方をくらましたS社長。
手がかりは、営業を停止してしまった「Bプランニング社(仮名)」だけ。
Nさんの話によると、
「私が勤めていたのはBプランニング社の支店だと聞かされていました。本社は別の住所にあるそうです。私は行った事がないのですが……」
とのこと。
(それなら、まずはその本社を見に行こう!)
早速出かけたアンジェラだったのだが、その本社が見つからないのだ。

(住所は「東京都○○区○○の2−3−15」……)
しかし「Bプランニング社」の本社など影も形もない。それどころか「2−3−15」という住所すらわからない。
何度も地図を見直し、あたりの人に聞いてまわる。
そして、ついにその住所を探し当てた。

(右の建物が「2−3−14」。左の建物が「2−3−16」だから、)
(ここが「2−3−15」に間違いない!)


……路地?

(住所がない!? なんで??)


「あ〜。それは『見えない住所』だよ」
連絡を受けて先輩探偵が説明する。

「“書類上は普通の住所だけど、その場所にはどうしても行くことができない”
怪談みたいだけど、時々そういうことが起こるんだ。
原因は「違法建築」や「土地の不法占有」や「区画整理の都合」。たまに「役所のミス」だったりする。とにかく、あるはずの住所が何かの原因で消えてしまっているんだ。だから『見えない住所』ってわけ。詐欺師や知能犯がよく使う手だね。その住所は手がかりにならないよ」

がっくり肩を落とすアンジェラ。新米探偵の前途は多難のようである。

(つづく)



特捜班



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