●更新日 09/20●


「セントスプリングス」総括


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『「セントスプリングス」の倒産は計画倒産だったのではないだろうか?』
写真

Tさんは未だにその疑念を拭えない。
そこで私たちは別の契約者から「御知らせ」を入手。その内容を見比べてみた。
結果、その内容はTさんが受け取ったものと一字一句同じものだった。

写真 もちろん日付も。

もし、セントスプリングスの倒産が計画的なものであるなら「御知らせ」に記載される日付は、契約者によってそれぞれ違わなければならない。更新時期は契約者によって違うからだ。

しかし、日付が統一されているとなると「更新料を受け取った直後に倒産を告げる」という手口で利を得ようとしたと見るのは難しい。むしろ、Tさんのケースは「たまたま運が悪かった」と解釈するほうが自然だ。
そして、Tさんの話によれば、

・愛猫の遺体を引き取りに男性がやってきたが、その物腰は終始丁寧だった。
・用意された猫用の“棺”も、紙製ではあるが綺麗でかわいらしいものだった。
・「セントスプリングス」の尼さんは「この度は大変でしたね。お子さんはお一人ですか?」
 (お子さん=愛猫)とペットを家族として扱ってくれていた。
・年に2回は必ず“合同慰霊祭”を開いているようで、案内状も送られてきていた。

ペット葬儀社としての業務は誠実に行っていたようなのだ。
そうなると、特に悪質とはいえないように思えるのだが?

しかし、Tさんの疑念に拍車をかけている事実がある。

「BOSSと話をした“ヤジマさん”は、まだ嘘をついています。
写真
4年前、うちに遺体を引き取りに来た男性は、あのヤジマさんでした。まちがいありません。
「社員だったのはちょっとの間」なんて嘘です。4年前からの社員だったんです。
あそこまで嘘をつき続けるような会社が誠実であるなどとは思えません。

……確かに。
さらに「御知らせ」や「消費者センターの回答書」の中にもひっかかる文章がある。

写真 「消費者センターへの回答」より

写真 「御知らせ」より

主張したい理屈はあるようだが、要するに「受け取った更新料は返さない」そして「電話での抗議は受け付けない」ということだ。
これではTさんのようなケースで不満が残るのは当然といえるだろう。
加えて「セントスプリングス」で接客する末端の社員には何を言われても「私はアルバイトだから、何もわかりません」と主張するように徹底されている。
写真
4年前から勤めていたはずのヤジマ氏も、最後までその姿勢を崩さなかった。

総合すると、経営難のため閉鎖した「セントスプリングス」は、その会社処理にあたり「契約者に申し訳なく」思い「迷惑がかからないように気を配っている」のではな く、

「契約者のクレームが発展しないように注意を払っている」にすぎない。

だから、遺骨を引き取りに来た契約者が、いくら感情を害そうと全然平気
どんな文句をつけられても「アルバイトだからわかりません」
特に気分を害し、収まらない契約者に対しては「書面でどうぞ。弁護士が対応いたします」

こうして文章にすると、なにやら頭にくる対応のように思ってしまうが、では“悪質”なのかというとそういうわけでもない。
会社閉鎖後の処理として「セントスプリングス」がしたことは、

・生前予約をしていた契約者には全額返済。
・納骨場所として新たに動物霊園を手配。
・遺骨を引き取ってもらうため賃貸テナントビルを2010年まで維持。
・その間の納骨の料金は無料。

これらの対応は素直に評価すべきだろう
「悪質業者」とまでは言いすぎのようだ。利用者たちに迷惑がかからないようやるだけのことはやっている。たとえそれが「クレームを避けるため」という理由にせよ、だ。
願わくば、もう少し窓口での対応を考えてもらいたいものだが……
すでに閉鎖が決定した会社のこと。そこまで望む方が無理なのかもしれない。

ともあれ、重要なのは弔われたペットたちの冥福。
残された業務のなかで「セントスプリングス」がこれを軽んじることがないよう願いたいところだ。



九坪



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