●更新日 06/01●


「ひとりかくれんぼ」に関する中間報告


知らない方のためにまずはご説明。

ひとりかくれんぼとは、日本の近代怪談の1つで、いわゆる都市伝説である。ひとり鬼ごっことも呼ばれる。
元は近畿地方や四国地方の遊びであったといわれ、2007年4月に2ちゃんねるのオカルト板で取り上げられたことでインターネット上で知られるようになり、同年6月頃から各種掲示板やブログなどに方法や体験談が書き込まれたことで一般にも広く知られることとなった。オカルト板では、「ぬいぐるみを媒体にした降霊術のようなもの」であると言われている。
(「Wikipedia」より)

そして、そのやり方は以下の通り。

■用意しておく物
・ぬいぐるみ(手と足があるもの)
・お米(ぬいぐるみに詰められる程度)
・縫針
・糸(赤色)
・包丁や錐、鋏など、鋭利な刃物
・塩水(コップ一杯。天然塩がよいとされる)
■準備
@ぬいぐるみの綿を全抜き、代わりに米を詰める
A自分の爪を切り、かけらを入れて縫う
B縫い終わったらそのまま糸をぬいぐるみに巻付け、ある程度巻いたらくくる
C風呂桶に水を張る
D隠れる場所に塩水を用意しておく
■手順
@ぬいぐるみに名前をつける(自分の名前以外なら何でも可)
A3時になったら『最初の鬼は○○(自分の名前)だから』とぬいぐるみに向って3回言う
B風呂場に行き、ぬいぐるみを風呂桶に入れる
C部屋に戻り、家中の明かりを消して、テレビをつける
D目をつぶり10数えたら、用意した刃物を持って風呂場に行く
Eぬいぐるみのとこへ来たら、『○○(ぬいぐるみの名前)見つけた』と言ってぬいぐるみを刺す
F『次は○○(ぬいぐるみ)が鬼』と言いながら置く
G置いたらすぐに逃げて隠れる
■終了手順
@塩水を半分口にふくみ、隠れてる場所から出て、ぬいぐるみを探す(途中で塩水吐かないよう注意)
Aぬいぐるみを見つけたら、残りの塩水をぬいぐるみにかけて、口の中の塩水も吹き掛ける
B『私の勝ち』と3回言う
Cぬいぐるみは必ず捨てること(最終的に燃えるかたちで)
■注意点
・家の外に出ない。
・電気(明かり)は必ず消す。
・隠れてる時は静かに。
・同居人がいると、同居人に危害が及ぶという噂もあり。

さて。
以上が「ひとりかくれんぼ」の概略と手順なわけですが……
・発祥は近畿地方、四国地方。
・人形を刃物で刺す。
・実行の時刻は午前3時。
という点をみると、すぐに思いつく呪術があります。つまり「丑の刻参り」です。

京都地方に「鉄輪」(かなわ)という有名な謡曲があり、これは『「丑の刻参り」を行い、憎い男を呪った女が時の陰陽師:安倍晴明に調伏される。』という話です。
・安倍晴明をはじめとする陰陽師が主に活躍した舞台は京都。
・丑の刻参りで有名な神社は京都の「貴船神社」
・そして、陰陽道にはもともと「人形祈祷」と呼ばれる人形を使った呪術がある。

これらのことから、「ひとりかくれんぼ」は「陰陽道の人形祈祷」「丑の刻参り」と何らかの関連があるのではないかと推測されました。

次に、呪いの方法を見てみますと「丑の刻参り」や「人形祈祷」での呪術では「人形の中に仕込むのは、呪う相手の爪や髪の毛」となっています。
しかし「ひとりかくれんぼ」では、人形の中に自分の爪を仕込みます。
これでは「自分で自分を呪ってしまう」ことになります。

そして、終了の手順では口に含んだ塩水を人形に吹きかけ、更に焼却してしまいます。
宗旨を問わず塩は「清め」のアイテムです。炎もまたしかり。
人形に込められた呪いは「打ち消される」もしくは「はね返され」てしまいます。
自分で自分を呪って、その呪いを自分で打ち消し、はね返しているわけです。
わけがわかりません。
「ひとりかくれんぼ」とは、自分の分身を相手にした呪い仕掛けあい。
呪いのシャドーボクシングのようなものなのでしょうか?

そこで、更に陰陽道や呪術のことを調べていきます。
陰陽道はそもそも、古代中国から伝わったものです。
その古代中国の民間伝承のなかにこんな話を見つけました。

大昔、とある権力者に仕える「A」「B」という高官がいた。
この2人は共に優秀で、出世競争のライバル同士。互いに反目しあっていた。
そこで奸智に長けたAは、Bを謀殺してしまおうと企んだ。
まずAは、自分で自分を呪う人形を作り、その人形に「私、Bの呪いを成就させたまえ」と記名した紙を貼り付け、それを権力者の屋敷の軒下に隠したのだった。
頃合をみてAは「私に呪詛をかけている者がいる」と騒ぎだす。
権力者が半信半疑で屋敷内を探すと、果たして、軒下からAを呪う呪詛人形がみつかった
貼り付けてある紙を読めば、これがBによる呪いであることは明らか。
「なんと不届きなことをするのだ。ライバルが疎ましいからといって呪いをかけるとは!
権力者は大いに怒り、Bを捕らえて火あぶりにして処刑してしまう。
こうして、AとBの出世競争は、謀略によりAの勝ちに終わったのだった。

どうでしょう?
妙に「ひとりかくれんぼ」とリンクする点が多いと思いませんか?
もちろん、この昔話が関係するのかどうかわかりません。なにしろ、私は何の知識も霊感もありませんから。
しかし、この話に「陰陽道」や「丑の刻参り」というキーワードが加われば「ひとりかくれんぼ」の手順に近いものができあがるのではないでしょうか?

……ま、そんなわけで「ひとりかくれんぼ」については調査中です。
読者の皆様の御意見、推理、情報などお待ちいたします。






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