●更新日 04/21●
(判 決)
これに照らして見た場合、P家の飼い犬「ラッキー」はP家の自宅敷地より、道路に1犬身出られる状況で繋留されていたものであり、これは「相当の注意をもって管理」していたとは言い難い状況である。 よって、P家がラッキーの管理義務を怠っていたことは否めない。 しかしながら、本件事案に関してのみ見れば、その状況は以下のように認められる。
Aに見られる通り、Oには犬の飼育経験が5年以上ある。 つまりOは、犬の性質や行動について相当の知識を有していたものであり、犬に接近する際、その犬が親愛の情を示しているのか、危害を加えかねない状態であるのか、容易に判別できたはずである。 よって、 「Oが親愛の情を見せながら、危害を加えかねない状態のラッキーに近づいたので咬まれた。」 という状況は考えられない。 更に、Bの状況、及び、事件発生時のラッキーが食事中であったことを加えて考えれば、 「ラッキーが親愛の情を見せており、Oも親愛の情を示すために近づいたら咬まれた。」 という状況も考えられない。 なれば、Oはラッキーが食事中、つまり、犬の感情が刺激されやすい状態の時に、 「ラッキーの食事を妨害しようとして近づいた。」あるいは「ラッキーに何らかの危害を加えようとして近づいた。」としか考えられず、その結果、反撃的に咬みつかれたものであると判断せざるえない。 すなわち、本件はP家によるラッキーの管理状況に関連なく、 Oの自招行為によって発生したものと認められる。 なれば、本件に関してOが受けた損害を、Pが賠償する責任は存在しない。 よって、原告:Oの請求を棄却。被告:Pの損害賠償責任はないものとする。 いかがだったでしょう? 実際のところ「飼い犬が通行人を咬んでしまった」という事件は頻繁に起きていますが、大抵は「飼い主の管理不行届き」「飼い主は損害賠償せよ」という判決が言い渡されています。 今回のように「咬まれた方の自招行為」という判決が下されるのは、非常に稀なケースなのです。 厳しい見方をすれば、このケースだって、Pさん一家がラッキーを道路に出さないようにしていれば、防げたはずの事件なのですから。 「ペットを飼う」ということは「命を預かる」ということ。 そして、その命が生み出す「一切の責任を負う」ということ。 飼い主の皆様。ゆめゆめお忘れになりませんように。 特捜班:九坪 |
探偵ファイルのトップへ戻る |