●更新日 03/09●


性欲処理の問題


それは高齢な障害者の家族から依頼。
「ある福祉施設が入所者を虐待している。その証拠をつかんでほしい。」

依頼を受けてその施設に潜入した探偵が見たものは、
両手両足をベッドに縛りつけられ、動くこともままならない障害者の姿だった。



明らかな虐待。証拠を得た家族は福祉施設を問い詰める。

「それじゃあ、どうすればよかったんですか?!」

福祉施設の職員は、涙を流しながら訴えた。



老人とはいえ、障害者とはいえ、性欲は旺盛なんです。
知的障害があるとはいえ体は健康です。プロレスラーのように大柄で、腕力もあります。
そして健常者と違って、理性や抑制が効きません。
欲求不満を持て余せば、職員や他の入所者にも襲いかかります。女性の職員が何人でかかってもどうにもなりません。
でも、暴れる本人に悪意はないんです。それこそ猛獣と同じなんです。


私達だってこんなことはしたくない。絶対にしたくないんです。
でもそうしないと、どうすることもできない。もっと大きな問題になってしまいます。
いい方法があるなら教えてください。お願いです。教えてください。
私達はどうすればよかったんですか?

女性職員は黙って襲われていろというんですか?
施設から放り出せばよかったんですか?
放り出して野垂れ死にさせればよかったんですか?
家族に押し付ければよかったんですか?
家族にも面倒はみきれないと知っているのに?

じゃあ、私達の仕事は何のためにあるんですか?!

……………………………………………………………………………………………………………

介護が必要な「障害者・高齢者の性欲」という問題は、福祉関係者にとって長年タブー視されてきた問題だった。というより、目を背けたい問題であったというべきか。

しかし「食う」「寝る」「ヤる」は人間の3大欲求。
無理に蓋をしても、やがては噴出してくる、現実に存在する問題である。

「そういう福祉の問題にケンカを売りたかったんですよ。」

と語るのは「障害者・高齢者専門店 ハニーリップ」を経営するYさん



ここは通常の風俗店とは違う「障害者・高齢者専門」デリバリーヘルス
完全予約制。車椅子やベッドから起き上がれない人のために、自宅からホテルまでリフトカーで送迎するといったサービスも行っている。


もちろん、自宅に女性を呼ぶこともできる
「しかし、自宅には呼びにくいでしょう? 大抵、家族と一緒なわけですし。そのためのリフトカーなわけです。」

20年間、福祉関係の仕事を務め、この店を始めて2年目になるYさんは、この店をはじめた理由についてこんなふうに話してくれた。

障害者の性欲について、家族の方などは「寝た子を起すな」と言うんですよ。
「どうせSEXなんて死ぬまできないんだから。」とね。
でも、私に言わせると「寝た子」ではなく「寝ているフリをしている」だけ。
障害を持っていても性欲はある。でも、それを家族には言えない。
家族のほうもその問題には蓋をする。
「そういう店でもあればねぇ……」という感じでね。

そこで
「じゃあ、私がつくります。」ということでこの店を作ったわけです。
でもまあ、作ったら作ったで
「うーん……」といって渋い顔をされました。
やっぱり、家族の方も目を背けたい問題なんでしょう。
そういう問題にケンカを売りたかった、というのが店を始めた理由です。


女の子紹介には「ヘルパー2級」「介護職経験者」なども。

この事業をして良かった事は、やはり「喜んでもらえる事」ですね。
基本的には『ヌキ』だけではなく、男を上げて貰いたいっていうか
『女っていいなあー』『彼女作りたいなー』って、元気になって貰いたいのがコンセプト。
ですから、お客さんから
「もう死ぬまで縁がないって思っていた。」「諦めなくて良かった」「こんな店があってよかった」っていう声が貰えたら、そりゃ嬉しいです。




しかし「障害者や高齢者の性欲」は福祉関係者も長年目をそむけてきた問題。
さまざまに苦労は多いという。

この問題が、もう少し世間にオープンになればいいんでしょうけどね。
他の風俗店が、障害者や高齢者を積極的に受け入れてくれるようになれば、うちのお店は店じまいですよ。必要ありませんからね。役目を終えたってことで。


でも、難しいだろうな。
普通の風俗店がこれをやったら3日で潰れると思います。
お客さんが
寝たきりの方だったり、人工呼吸器をつけた方なんかだと、普通の風俗店だと難しいと思いますし……

私には福祉の知識や経験があって、他に仕事を持っていますからなんとかなります。
けど、それでも寝る間も惜しんでやらないといけない。大変なんですよ。

でも、まあ、障害者や高齢者の方でも、死ぬ前にキスくらいさせてあげたいと思うんです。
そういう経験無しに死んでいくのは、男としてやはり辛いでしょ。?


………………………………………………………………………………………………………………

この事業を通じて「福祉を変えていきたい」とも話すYさん
「福祉」+「風俗」と聞けばモラリストの方々は、眉をひそめるかもしれない。
しかし、Yさんが福祉の現実問題と真剣に取り組んでいることは万人が認めるところだろう。

Yさんの健闘を祈りたい。


※取材協力ハニーリップ(←18歳未満クリック禁止)



特捜班



◇上記のタグを自分のサイトに張ってリンクしよう!


探偵ファイルのトップへ戻る

前の記事
今月のインデックス
次の記事