●更新日 01/29●


ニートからの脱却


2年前、兄弟がニートになってしまっていて、何とか働かせることは出来ないものか?という相談が来たことがありました。




ニートとは、働かない・学校に行っていない、10代後半から30代前半までの人を呼ぶ言葉として広く浸透しました。

もともとは違う意味だったのですが、上の映像がニートを非常にイメージ付けたモノとしては有名。

相談をしに来たのは、弟。兄がニートで困っている・・・ということだったのですが、内容は2年前の当時、

名前   N君
年齢   20歳
性別   男
身長   170cmくらい
体重   55s以下

・童貞
・中学の卒業アルバム欄外。高校、1年度で中退。
・女の友達どころか、男の友達もいない。話す相手は、親か兄弟
・服装、全く気を使わず。ジャージにTシャツをタックインして真冬でも近所くらいだったら外出れるタイプ。というより近所しか彼の活動範囲がない。部屋にしかいないから季節感が全くない。
・彼が外出る時の大半は、家から2分の自販機に、ジュース買いに行く時。
・趣味はネット。彼がお風呂入ってる時に、家族がPCの履歴見たら、2chの「萌えニュース」だったそうな
・彼の一日の行動パターンは「起きる、ネット、飯、風呂、ゲーム、漫画、寝る」の中のどれか
・以上の行動パターンにより、携帯電話も持っていない
月の小遣い、5千円。

「はぁ!?そんなんで生活できないでしょ?5千円なんて、一回の飲み代にも、ガソリン代にもなりませんよ!」って言ったら、
「車、携帯、そんなのないんです。実家に住んでいて、服も親が買い与えるだけ。ゲームも見るものも、ネットから落としてきてるからお金かからないんですよ。基本的に外に出ないんです。秋葉原にどうしても直せないPCを持って行ったのが、彼の中ではもの凄い遠出の旅だったはずです」
・好きなゲームの傾向。兄弟の人いわく、戦争ゲームらしい。 三国志とかじゃなくて、話してくれた内容から提督の決断とか、大戦略と思われる

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さぁ、上記の内容の人間をどうやって脱却させようかと考え、当時は「まず、パソコンを取り上げ、外に連れ出して遊ぶ楽しさを教えた方が良いのでは?」と思っていたのですが、手法を相談していた心療内科医に「その方法は良くない」などと言われたりして、決め手に欠いていたものでしたが・・・
なんと! 2年後の現在、彼はニートから脱却していた!

今回、どのようにしてニートな状態から脱却出来たのかをインタビューしてきたので、どうぞ!



山木 「こんにちは。まずは、何でニートになっちゃったのかを教えてください」

N君 「いや・・・もう、全てがかったるかったんです。学校も嫌だったし、人と話したりとかそういうのも面倒でした。高校は、朝になると吐き気や頭痛がしてくるんですよ。行かないと決めて、部屋にいると治る。もう、何なんでしょうね。たぶんストレス性の何かだとは思うのですが・・・心療内科も行きたくなかったから行っていないし、正直な所わかりません」

山木 「ニートとと言うより、引き籠もりですね。結局、何年続いたんですか?」

N君 「そうですね。引き籠もりってのが正しいのかも。高1の時からとして、7年くらいかな?」

山木 「どうやって、脱却したんですか?」

N君 「んーーーー、弟が相談に行ったじゃないですか。俺と違って、弟って勉強出来たし社交性高いんですよ。だけど、高校卒業して直ぐに働き始めたんです。理由は俺が働かないし、親父だけ働かせて負担背負わせるわけいかないってことで」

山木 「それを聞かされたんですか?」

N君 「いや、夜中に親父とお袋が話しているのを聞いちゃったんですよ。俺、親父には諦められているというか・・・。親父が、同じ兄弟で、Y(弟のこと)とどうしてこうも違うんだ。母親のオマエが甘やかすから行けないんだ。今からだって、Yは大学に行ってきちんとした企業に就職させた方がいいし、その面倒は俺が見る。Nは母親のオマエが責任持って何とかしろ・・・みたいな内容でした。もう、泣いちゃいましたよ・・・。しかも、お袋が一切反論しないんです。ただ、責めないであげてください、みたいなこと言うだけで」


(これはイメージ画像)

N君 「俺、ネットに集中しちゃうと、ご飯食べないし、トイレに行くくらいしいか部屋も出なかったんですよ。それまで、こんなメッセージ付きの食事を持ってこられても鬱陶しいくらいにしか思わなかったんですけど・・・。もうね、頭を殴られたというか」

山木 「それで、お母さんの為に働こうと思ったんですか?」

N君 「まぁ、そんな感じです。だけど、俺って中学の時から人と話すの苦手で今まで来ちゃっているから、接客なんてまず無理だし、どんなバイト先に履歴書持って行っても面接の時点で落ちちゃうような気がして・・・。それをまぁ・・・2chのあるスレで相談したら、ハローワークに行けみたいな助言があって。最終的には、ハローワークを経由して職人をやるようになりました」

山木 「職人? そりゃまた、ハードな所にいきなり行きましたね」

N君 「免許も持っていない、対人的な社交性はゼロって来たら、工場やライン作業くらいしか無理だと俺も思っていました(笑)ハローワークの担当してくれた人が、職人見習いだったら、親方の言うことだけを聞いてやっていればいいから有る意味良いんじゃないか・・・みたいなこと言っていて、それもそうかなーーーなんて思って。朝は早いし、仕事場には黒人がヘルメット被っているしで驚くことばかりですけどね」

山木 「家の人は何て?」

N君 「親父は続くわけないみたいなこと言っているらしいです。俺には直接話してこないで、弟から又聞きしたんですけど。お袋は素直に喜んでくれましたよ。一ヶ月目の給料、全部お袋にあげちゃいました」

山木 「全部!?」

N君 「だって、使わないし(笑) いいんですよ、喜んでくれるなら。今まで迷惑掛けっ放しだったんですから」

山木 「Nさんはこうやって、ニートや引き籠もりから脱却したわけじゃないですか。何が原因だと思います?全国の1年前までの貴方みたいな人に言う言葉があったら、是非」

N君 「僕の場合は、ただ単に親父に絶望したのと、庇ってくれている母親に何とかしたいと思ったのが切っ掛けです。引き籠もりが出来る環境って、凄く温くて気持ち良いから出て来れないと思うんですよ。その切っ掛けになるわけだから、家族の対話くらいじゃ駄目だと思うけど、それでも行き着く先は家族の何かじゃないかな・・・と。ごめんなさい、上手く説明出来ないで」


どうでしたでしょうか?
N君は説明出来ないと言っていましたが、ニュアンスは伝わったのではないかと思います。
飴と鞭なんて言葉は良く聞きますが、甘やかす飴だけでも厳しくする鞭だけでも駄目であって、N君の場合は鞭の父親と飴の母親が上手く絡まったから良く行っただけかもしれません。
だけど、もし身近に同様のケースで悩んでいる人がいたら、今回の脱却したケースは何らかの参考になるのではないでしょうか。



山木



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