激安カニの正体に迫る

みんな大好きカニ。



しかし味に比例するかのように、カニの値段というものは通常お高いものです。
カニを食べたい！でも高い！二律背反アンビバレントな感情の狭間で、我々は日々頭を悩ませることになるわけですが、最近はそんな迷える消費者に心強い味方が現れはじめました。
そう、

ネットカニ通販です。

安いところだと「わけあり品、1キロ１９８０円、送料込み」などという夢のような価格でカニを購入できる庶民の味方。
しかし、冷静に考えて欲しい。

なんでそんなに安いの？

「わけあり」の「わけ」って何？送料無料でやっていけるの？
昨日の記事でも少し触れましたが、本日はカニ業者から聞いた激安の秘密をお伝えいたします。


――なんで安いんですか？
安いカニ使ってるからです
いや、当たり前かもしれませんが、こちらも商売ですから損するようなことするわけないじゃないですか。送料無料も同じで、単に最初からカニの価格に送料が含まれているだけです。そうですね、１キロ１９８０円送料無料なんてカニだと、カニの仕入れ価格はキロ８００円くらいのクズカニですね。

――そのような安いカニはどのような理由で安いのでしょうか
普通は売らないようなカニを売っているからです。
実は卸売りの業者がカニを買う時、カニの漁船１艘丸ごと買うことになっているんです。全てまとめてキロいくらという感じで。そうするとそこには、どうしても通常では販売できないようなレベルのカニも含まれてくるわけです。

――食べれないレベルのカニを売っているということでしょうか
あ、いえ、違います。食べれないというわけではなく味や身入りが悪いという意味です。通常は缶詰やスープなどの原料になるしかないような、脱皮直後や直前、十分に育っていない、保存しすぎて味が落ちているなど、酷いのになると身入りが３割程度のカニを販売するわけです。
当然、品質管理の厳しい大手のスーパーなどには売れませんので、それらはネットなどで販売されることになります。ネットだと直接品を見れないのもありますし、素人（消費者）に売るのでバレにくい。「わけあり」なんて書いてある激安のカニはこういうレベルのカニが多いと思ったほうがいいですね。

――買った人からクレームなどはこないのでしょうか？
普通はこないですね。
でもやはり色々な意味でバレてます（笑）
激安カニ全般の話ですが、一昨年の激安カニは馬鹿みたいに売れたのに、去年はそれほど売れなかったんですよ。やはり素人さんといえども一度買って食べてしまえばわかるようで。リピーターがあまりいないんですよね。まあ、それでもやめられませんけどね。

――なぜやめられないのでしょうか？

消費者が求めるからです

カニを安く！カニを安く！そう求めるのは消費者の方です。
そういう要求があるかぎり、味がなんだろうが、身がはいってなかろうが販売し続けます。
我々だってお客さんにはおいしいカニを食べていただきたい。

でも、カニは高いものなんです

高いといいきってしまうとあれですが、味と値段は比例するんです。
ある程度の金額を払わないとまともなものが手に入らないと思って間違いありません。そうですね、タラバだとキロ３〜４０００円くらいから、ちゃんとしたおいしいカニになってきます



――ありがとうございました。他に何か情報があれば。
そうですね。

カニこれから値上がりしますよ

ロシアが輸出量を６割程度に減らすということで、カニの輸入総量が落ちてきてます。また韓国、中国、アメリカなどが高い値段をつけるのでそちらに流れてしまう。実際すでに今シーズン、カニの加工業の工場が動いてません。また、これまでなら倉庫を空けるために放出してたカニが今年は全然ないです。みんなこれからカニが入ってこなくなるのを知ってるのでキープしてるんです。今後の安いカニには要注意ですよ。コレまで以上に古いカニが出回ってきます。


と、いうわけで、最後はカニ世界の暗い未来なお話になってしまいました。
ま、おいしいカニ食べたかったら、ちゃんとお金を払いましょうってことですね。



大住