●更新日 10/31●


「ロリコンは背の低い人に多い」って本当?


「背が低い人ほどロリコンになりやすい」、こんな研究結果がカナダで出たとして、ネット上でも話題になっている。この研究結果は、どこまで信用できるものなのだろうか。

10月23日の「AFP BBニュース」で、この話題が取り上げられている。カナダの研究機関「Centre for Addiction and Mental Health(CAMH)」が、背の低い男性に小児性愛の傾向が強いという研究成果を発表したという。小児性愛や異常性行動の男性1000人以上を対象に調査した結果、小児性愛の男性の身長はそうでない男性の身長より平均2センチ低かったとのこと。これを根拠として、小児性愛者となる原因は胎児期に既に存在しているとの結論を出したようだ。また、小児性愛者の傾向として、次のような特徴が挙げられるという。IQが低いこと、左利きであること、学校での落第経験があること、幼少時に頭部に怪我を負った経験があること。記事中では、統合失調症やアルツハイマー病になる確率の高さと身長が低いこととの関連性が既に指摘されているとの記述もある。

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ちなみに、上に引用したサイトの日本語による記事は、記述がやや簡略化されているようだ。CAMHのHPに掲載されている英文には、次のようにある。
Further research is necessary, but this finding re-enforces evidence that pedophilia has a biological cause, possibly related to brain development before birth.

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記事には「小児性愛者として発育する要因は、すでに出産前の胎児期にあるとしている」とあるが、より正確には、誕生前の脳の発達に関係しているらしいというわけだ。

このような「科学的」と思われる研究結果を、専門家はどのように見るのだろうか。都内の大学病院に勤務する精神科医に話を聞いてみた。
――この研究結果を、どう評価しますか。
「一言で言えば、「かなり胡散臭い」ですかね(笑)。その理由をお答えする前に、一言申し上げておきたいことがあります。小児性愛をどう定義するかということですが、一般的に言われる「ロリコン」から性嗜好障害まで、多義的な概念です。ここでは、そういう細かい議論は抜きにして、幼い子供を性愛の対象とするという簡単な定義で話を進めさせてください。」
――分かりました。では、胡散臭い理由についての説明をお願いします。
「統合失調症やアルツハイマーと低身長との関連があるらしいということですが、脳機能と疾病に関する研究の成果はある程度は認めるとしても、それは小児性愛のようなセクシュアリティの問題とは全く別物と考えられます。非常に分かりやすく言ってしまうと、脳が一定の刺激を受けて特定の状態に置かれることで、その時に性的興奮を覚えます。ですが、その興奮がどのようなものであるのかというのは、刺激や脳機能についての医学的・科学的な言葉では語れないんですよ。その人が何に興奮するのかというのはセクシュアリティの問題ですから次元が異なり、医学や科学の言葉で性愛の具体的な中身は描けません。異性愛、同性愛、小児性愛、いずれの性的興奮も、刺激という点では質的に等価なのです。もし今回の統計結果が正しいとしても、低身長の人がそれまでの自分の人生の中で経験してきたことの蓄積や、それによる感情形成への影響によるものが大きいのではないでしょうか。要するに、低身長と脳の発達に関係があるという説明が正しいとしても、脳の未発達と小児性愛の間に直接的な因果関係を設定することは論理的に不可能なのです。もちろん、幼い頃から既に小児性愛だったという人もいますが、それもセクシュアリティの問題です。」

科学的な研究成果によって客観的に全てを記述できてしまうと、私たちは思いがちではないだろうか。だが、科学だけでは人間の行動を記述し尽くすことは難しいようだ。



高橋



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