●更新日 10/23●


50年後のアスベスト


もう、聞き古した感じもある「アスベスト」

アスベストが問題なのは広く空気中に拡散する上に体内に残留し、ガンを始めとする多くの病気を引き起こすから。深く興味がある方はwikiでも見て欲しい。

現在、多くの禁止や規制真っ只中なのだが、もともとこのアスベストは断熱・耐熱として非常に優秀だった為に、建築や自動車の業界で使われてきた。アスベストが駄目なら、ではビルなどの断熱には現在何を使っているのか御存知だろうか?

幾つか有るのだけど、その内の一つをご紹介しよう。



これは、建築中の立体駐車場からの映像。火災が起きた際に上に燃え広がるのを少なくさせる為に、映像のような断熱材が吹き付けられている。



これを配管通す為などで、削り出すと上記写真のようになる。発泡スチロールと粘土を混ぜ合わせたような感じだ。



削り出した欠片を近くで見ると、綿のような繊維が。

これは一体何なのかというと、ガラス繊維を混ぜ合わせた物。もちろん、こんなものを削り出せば辺り一面に撒き上がる。

体に付けば痒みを伴うし、吸入すれば咳が止まらない。



今回の取材に協力してくれた作業員がしていたマスク。ワークショップで500円くらいで売られているような代物だ。


―これで大丈夫なのですか?

「大丈夫かどうかは解らないけど・・・会社が渡してくれるのはこれだから。これ以上は自分で買えって言われます。同僚は、もっといいマスクをしていますね」

―自分の身は自分で守れってこと?

「朝礼(※)なんかでは、マスクにしろゴーグルにしろ、身を守るためのものは所属会社が買って作業員に渡すようにってゼネコンの監督やらが言っています。それが最低限守られているようなとしか感じませんねー。まぁ、零細がほとんどの会社で消耗品に金掛ける余裕なんてないのかもしれませんが、働く俺らは溜まったもんじゃないですよ。この削り出し、良いマスクをしていてやっていても、1時間もすれば喉がいがらっぽくって暫く消えません。明らかにヤバイですよ」

「ちなみに、吹き付ける作業をする方は、映画なんかに出てくる頭の先からつま先まで完全防護服ですからね?それだけ危険な代物を使っているのかと(笑)吹き付け作業、凄い日当いいらしいですよ」


※多くの出入り業者がある大きい建築現場では、朝礼があるのが普通。ゼネコンの社員が第二次下請け会社に指示・指導し、更にそこから第三次下請け会社に流れていく。しかし、実際の作業をするのは第二次・第三次会社の作業員。



メディアに出てくるのは、問題が起きてからだと取材を受けた作業員は語った。

しかし、問題にならない&問題だとは思うけど、とりあえずやってしまう・・・というのは現在でも行われていること。写真に出ている断熱材。人体への有害要素はどれくらいなのだろうか?

「50年後くらいに、アスベストと同じように問題になるんじゃない?」と休憩中に語った作業員は、壊れ掛けたマスクをして削り出しに戻って行った――



探偵K



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