●更新日 10/19●


偽装続々発覚 セレクトショップの悪質商法


このところ、「ビームス」、「ユナイテッドアローズ」といった大手セレクトショップで、販売商品の不当表示という「偽装」問題が次々に発覚している。

2007年10月11日の中日新聞によると、ユナイテッドアローズが「カシミヤ70%」と表示して販売したネパール産の女性用ストールに、実際にはカシミヤが全く使用されていなかったという。販売数は1000枚に及び、同社は自主回収を始めた。経済産業省関東経済産業局は、家庭用品品質表示法に違反するとの理由で、「必要な指導をする」とのこと。

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また、10月12日の産経新聞が報じたのは、ビームスがルーマニア製のパンツをイタリア製と表示していたという問題。公正取引委員会が景品表示法を理由に、「縫製地を原産地として表示するべき」としたのに対し、ビームスは「商品はイタリアのブランドが企画、デザインした。縫製地を原産国とするのは妥当でない」と反論したが、東京高裁は不当表示であると結論した。


このような状況を、同業者はどのように見るのだろうか。電話取材の結果を以下に記す。


――近頃発覚している一連の問題を、どう見ますか。
「こういうのは、今に始まったことではないです。不当表示には大きく分けて二つのパターンがあり、意図的に偽装する場合と、そうでない場合です。」
――「そうでない場合」というのはどういう意味ですか。
「担当者が知識不足で、買い付けや生産依頼の時点で騙されているという場合です。特に海外で現地の言葉をろくに使えない担当者が、そういうひどい目にあうことが多いようです。」
――意図的に偽装しているというのは、かなり悪質ですよね。
「そうですね。ですが、それがセレクトショップの「自社ブランド」の特徴ですよ、はっきり言って。セレクトした有名ブランドの高額なアイテムを買う客と、自社ブランドの低額なアイテムを買う客で「差別化」することで、客層を拡大するというのも一つの目的のようです。ですからデザインも、どこにでもある無難なものや、人気ブランドのデザインをパクったものが多くなります。」
――セレクトして仕入れた高額なアイテムについても、利益は大きいのですか。
「試しに現地へ行ってみてください。バカらしくなって日本でなんか買えなくなりますよ(笑)。自社ブランドについても同様で、実際には海外から低価格で仕入れてきたアイテムに自社のタグをつけてそれなりの値段で売るという場合もありますが、これは早い話がボッタクリです。」
――全く同じアイテムが、異なるブランドでタグだけ変えて売られているのを見ましたが…。
「それは、ブランドが生産を依頼した下請け業者が同じだった可能性が高いですね。同じデザインのものを作って、納入時にタグだけブランド名を変えるというのは、よくある手口です。もっと悪質なのは、その下請け業者が生産を依頼されたブランドのデザインをパクって、それを自社製品として販売するというパターンです。欧米でもアジアでも、そういうことがあります。」
――購入時の注意点がありましたら聞かせてください。
「では、セレクトショップの自社ブランドを買う時の注意点を。素材は悪くないけれど縫製技術がよくない、デザインは悪くない(人気ブランドのパクリ)けれど素材はイマイチなど、どこかに欠点がある場合が多いというのも特徴です。特に縫製技術については、しっかり見てください。もちろん、こういうことはセレクトショップやブティックで扱われている一流ブランドのアイテムについても当てはまります。ご要望があれば、具体例を挙げて別の機会にお話ししましょう。」


服をどこで買うか、「ショップをセレクトする」賢明さが消費者には必要なのかもしれない。



高橋



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