よく、壺や数珠を霊能者に買わされるという話を聞く。そういう話を聞く度にそいつの脳はスポンジなのではないのかと思ってしまうのだが、そもそもの前提で何で信じてしまうのか。
（この人信じられますか？）
人が言うと書いて「信」という字になるとは良く言われるが、一体全体なんで？？と思うのは自分だけではないだろう。
今回、自分のツテを繋げて行った所、ニセ霊能で金を巻き上げているという奴に接触できた。 霊能力だけでは生活出来ないみたいで別に職を持っているのだが、鑑定料や霊視での相談料金を取ったり・・と、やってることはれっきとした霊能商売。
名前や顔を出さないことを条件に話してくれたのが、以下の手口である。
――ちょっと、手口を教えてよ
んー、基本は口コミ。具体的には一人信者を作ると、そいつがどんどん新しい奴を連れて来てくれる。もちろん、連れて来た奴が全員俺のことを信じるわけではないし 、上手く行かない時もある。だけど５人連れて来れば一人は残るんだよ。その一人がまた新しい奴を連れて来てくれる・・・っていうのが手口だねぇ。
――どうやって信じさせるの？
占い師にも通じることなんだが、悩みの相談って大まかに纏めると３つしかないんだよ。
「人間関係・夢・健康」この三つ。
例えば仕事の悩みって言ったって、人間関係が関係する悩みになるか、金のことや何やら。特に女性は８割が恋の相談。違うとなっても、突き詰めれば 異性関係だったりする。純粋に確率が一番高いわけだから、まずはそこを起点にする。
次に外見や持ち物から大体の人物像を何となく決め付ける。何を見て何を把握してるのかは内緒だけど、ヒントは視線と仕種など。他に大体の場合は信者が連れて来てくれる時点で事前情報があるんだよ。 例えば「このコ、いつも男関係で失敗してるから先生に会わせてみようと思って・・」とかね。それだけ解っていれば、
「貴女はいつも、報われない恋や相手に振り回される人間関係に悩んでいますね」
こう決め付けてもそこまで間違っていない。第一、悩んでいなければ友達の勧めと言えども霊能者のところになんて来ないから（笑）
――その判断の基準、何か一つ探偵ファイルの読者に教えてよ
えぇ・・・手品のタネと同じで、知ってしまえば単にそれだけのことなんだけど・・・。じゃぁ、一つその霊能者が本物かどうかを見分ける方法を教えようか。本物が 本当にいるかどうかはまた別の話だけど、相談を受ける前に何かを書かせたらまず偽物。
――その書かせた内容を弟子や信者が読んで、霊能者に伝えるってこと？
違う。そういう方法もあるけど、それだと相手に与える信頼感や衝撃度が落ちる可能性がある。
例えば、「霊視をするから本名と生年月日を書いて」って言って紙を渡せば、別にそれ自体は不思議なことじゃないだろ？ 悩み相談来た人であれば、それくらいは書くよな。でも、見ているところが違うんだよ。さり気無く名前と本名を書いてと言って出した時に
（例の一つとして。これは左下がり）
書いた字が 右に傾いていると、気分的に上がっている。楽観的な人間である可能性がある。
逆に左に傾いていると、気分的に落ちている。疑っている可能性がある。
こうした予測が出来るの。もちろん、全てではないけど。同じく、どう書いたかも判断の基準になる。
バーッと殴り書きしたら、「せっかち、慌て者、能動的、行動的」という判断が出来る。ゆっくり正確に書くようなら「神経質、不安がある、受動的、ゆっくりと行動」というように判断の基準になる。
例えば、この山木って人に対して人間関係の悩みだとして決め付けているなら、
「あなたは思い立ったら直ぐに行動する傾向にある人ですね。でも、 同じくして不安を抱えることや疑いを持つことも多い。良かれと思ったことが裏目に出る傾向にもありますね。そんな人間関係に悩むことも多いのではないですか？」
こんな感じに言うね。もちろん外れる可能性もあるけど、何も考えないで話すよりはその人の性格を当てている確率は増えている。
このセリフだって、誰にでも当てはまることを組み合わせて言ってるだけだけど、その人の性格により近いものであれば言われた方はビックリするんだよ。
５人に試せば、一人は「この先生、凄い！」ってなるってわけさ。
どうだっただろうか。少しはニセ霊能者に騙されていく者の流れが把握出来ただろうか？
今日記事にしたのは触りでしかなく、この他にも信じさせるテクニックは無数にあると言っていた。
ただ、相談に行った時に紙に何かを書かせる霊能者や占い師は信じない方が良さそうである。
「名前書いただけで、私の性格解ったの！凄い！！」なんて言い出す奴はカモになる素質十分。儲けるって字は、信者って書く。
壺でも数珠でも押し付けられるわっ、とケラケラ言いながらそいつは笑っていた。
ホドリゴ