情報提供・ご意見ご感想などはこちらまで! 記事のご感想は一通一通ありがたく読ませて頂いております。

JALのパイロット研修の実態とは

9月30日のスパイ日記で、日本航空(JAL)には「日航機事故被害者採用枠」というものが存在し、それを悪用するケースが後を絶たないということを報じました。

では、事故を教訓として、パイロットの安全対策はどのようになされてきたのでしょうか?

この点について、実際にどのような研修プログラムが組まれているのかということを、JAL関係者に聞いてみました。プログラムの内容は実に多様なのですが、これからパイロットを目指す人が最も気になるであろう研修の最初の段階に、今回は話を絞って紹介します。


パイロットを志望する場合、正式に入社する前の内定の段階で、安全管理についての研修プログラムへの参加が義務づけられるといいます。いわば、パイロットの初心者が最初に受ける研修は、安全対策とはどのようなものかということについての基礎知識の習得から。安全とは何か、不測の事態が発生した場合にどのような心構えが必要か、パイロットとして弁えておくべきことは何か、といったことが講義されるんですね。

HPより


基礎知識を習得すると、今度は現場での実践の中で求められる各種能力を身に着ける訓練が始まります。例えば、周囲の関係者と協力して取り組むためのチームワークやコミュニケーションの方法、直面している危機への対応方法などを理解することが課題。これらの研修を終えると、いよいよ実践的な訓練に。

本物の航空機内部そっくりに作られた環境が用意されていて、そこで研修が行われます。不測の事態が発生した、しかもそのような事態がいくつも重なったというようなシナリオが用意されていて、それに応じて必要な対処をして行くとか。機械系のトラブルだけでなく、病人の発生やテロなど、様々なバリエーションが有るそうです。

一通り終えると、訓練の様子を録画したビデオを参加者一同で見て、どこに問題があったか、どこを改善できるかといった議論をします。ちなみに、この訓練の目的はあくまでも人材育成にあるため、訓練中の成功や失敗、ビデオを見ながらの議論の様子などが、当人の出世には影響することは一切なく、ビデオは研修後に処分されるそう。


とはいえ・・・本当に出世に影響しないのか、あまりにも不適切と判断された人物はパイロットの道をこの時点で絶たれるのではないか、といった噂も少なくありません。パイロット間ではごく当たり前のように流れている噂らしいのですが。

何故かというと、一連の訓練には指導を担当するスタッフが常に同伴しているわけで、一人一人の研修生の様子が観察されているからです。たとえ直接的には影響はないとしても、ここでの成績が今後の人間関係などに何らかの形で影響するのでは・・・という話を、JAL関係者は語りました。


非常に狭き門のパイロットへの道。

安全を徹底するためには、不適切と見られる適性を持った人は早期段階で区切りを付けるのは仕方ないことなのかも知れませんが・・・。

余談ですが、警察官になる為には警察学校に入校する必要があります。この学校、卒業までの1年の間に入った生徒の3分の1が辞めて行くとか。

ある警察官曰く、このような話をしてくれました。

「警察学校は警察官を養成する学校ではなく、警察官の適性を持っているかどうかを1年掛けて振るいにかける場所だ」

 

どこの業界も、適性が一番必要なのは今に始ったことではありませんが、人気職業の研修の実態は入る前に知っておいた方がよいかもしれませんね。

 

山木

タイトルとURLをコピーしました