●更新日 12/13●

無人島(2)風速117メートル


昨日はどんな台風だか分からなかったが、調べたところ、何と最大風速は117メートル!! 常時、70〜80メートルの風が吹いていたらしい。どうりで家や車がボンボン飛ばされるわけだ。
ホテルはタモン地区(島一番の繁華街)であるにもかかわらず、レストランは閉鎖。水も出なかった。もちろん、テレビも映らない。宿泊客とも会わない。自分の家がやられて仕事どころではない、とフロントのマネージャーが言う。

夕刻、街に出たがすべての店は閉まり、誰も歩いていない。不思議な感覚だ。仕方なくホテルに戻り、ミネラルウオーターを一本支給してもらって部屋に戻った。そんな時だった。けたたましく携帯電話が鳴った。

「どこにいるんだ?」 グアムの友人の声だった・・・。
「・・あ、ああ、飛行機に乗れなくてね。どうだい、様子は?」私は咄嗟に嘘をついた。
「どうもこうも、店の中が全部吹き飛ばされちゃったよ。家にいたから無事だったけど」
「やっぱり」
「ん?やっぱりって?」
「い、いや、テレビで見たんだよ」
「そうか・・・じゃ、ごたごたしてるからまた電話するよ」
「・・あ、待って・・もしもーし・・・切れた・・・」

私はバカンスで来たんだ。間違っても災害の復興に来たのではない。しかし、友人の力ない声を聞いて、急に罪悪感にとらわれた。
「よし、助けに行こう」
すぐに行くと嘘がばれるので、もう一日ホテルにいよう、と堅く心に誓った。しかし、何も無いことの苦痛。まるで無人島のようだ。うんこは野グソだし。
翌日、友人の家に向かった。
「どうして来たんだ? しかも、何だその格好は?」
私はスーツケースに大きなゴルフバッグを担いでいた。
「ゴルフができるわけないじゃないか、気でも狂ったのか?」
「あ、いや・・えへへへ・・」ごまかし笑いをするしかなかった。

 

 

家の中はめちゃめちゃ。庭のやしの木が折れて部屋になだれ込んでいる。私は懸命に片づけを手伝った。自分の家ですら何もしないので、かなりの苦痛だ。あ、奥さんのパンツ発見。派手だ。しかもどういうわけか真ん中が破れている。

だいたい終わったので、私は友人に尋ねた。
「ゴルフ、いつ行く?」
友人は無言で持っていたスパナで私の頭を殴った。

 

 

おまけ  友人の奥さん(27)の美脚