●更新日 7/20●

依頼者の笑顔




どのくらい時間がたっただろうか。空は白みを帯び始め、今日一日の初まりを知らせてくれる。後部座席でウトウトしていた私は、携帯の音で目が覚めた。


「まいど。調査完了しましたで。見てびっくり、聞いてびっくり・・・だから・・・・にいると思いますわ−。」

「わかったわかった。調査料は振り込んどくから。ありがとな。というより今着いたんだが、その会社とか、案内してくれよ。」

「わかりました。事務所であいましょ」


というと栗林はすぐに電話を切った。

栗林の事務所につくともうすっかり陽は登り、徹夜の疲れからか西田さんは眠ったままだ。部下を残して栗林の事務所へ。


「ガチャ」
ドアを開けるとそこには大柄な男。

「西田と申します」

見知らぬ男がそういった。私は何がなんだかわからなかったが、とりあえず事務所の奥でニヤニヤ笑っている栗林の前まで歩いていき、


「さすが。で、どういうこと?奥さん下にいるから、呼んでもいいかな?」
というと、


「ちょっと待ってください。その前に私が事情をご説明します」

西田さんの夫が語りだす。私は、依頼を成功させた安堵感と、これから説明されるであろう複雑な事情の不安感の狭間であれこれ考えていた。


「渡邉さん、実は、私は元々はこの国の人間ではないのです」


ちなみに、失踪の調査だが、こんなに簡単に本人が見つかったケースはほとんどない。特に、電話一本で調査が終了という今回のようなケースは特殊だ。失踪人調査の「成功」はターゲットを見つけ出すこと。その意味では今回の依頼である失踪人調査は終了なのだが、、、とりあえず、話を聞いてみることにした。


〜明日はまさかの結末!〜








Copyright(C)2002, Fumio Watanabe.All rights reserved.