皆さんもご存知の通り、自動販売機の下には小銭が落ちていることが往々にしてある。 やってきたのは成城、田園調布と並び金持ちの街と名高い白金だ。 火バサミとライトを用意。万全。 白金。名前からして金の匂いがする。絶対にこの街の自販機には金が眠っている。行くぞ! ・ ・ ・ ……。 ・ ・ ・ ……。 ・ ・ ・ そっかぁ、金持ちの街って自販機ねぇんだ。 これは盲点だった。いやぁすみません、下民なもので。 そうっすよね、金持ち様はコーラとか買わないよね。家にワインとかあるもんね。 もしかしたらお札を挿入するところにクレジットカードなんか入れちゃって、 「あれ〜、何で入んないのん?これだから賎民のマシンは」みたいなことを言うわけですね。 路頭に迷いやがれ、くそったれ! 仕方がないので恵比寿、目黒、高輪などの「下界」とギリで接する界隈まで移動することに。 これじゃ新宿あたりでやったほうがよかったんじゃないか、と悔しがりつつ十数分、すると! ようやく第一自販機発見。 いやっほう!どれどれ、と沸き立つようなテンションを抑えきれないまま、下を覗き込む。 うーん。 残念。無かった。まぁ最初からそんなに上手くほど世の中は甘くない。 徐々に自販機が多い地域に入り始めた。かたっぱしからやるまでだ。 一人ロケのため、 無い。 全部自分撮りです。 無い。 無いぞ。 おかしい。当初の予定と違う。何故だ。 それに意外と人通りも多く、いろんな人が自分を凝視してくる。 なんかこの人気持ち悪いなぁ、というような目で見てくる。 地面に這い蹲り、手には火バサミとランプ、うわ言のように「ないなぁ、ないなぁ」と呟く……。 ああ、冷静に自分を省みてみれば、確かに、残念なことにこれは、ボク、変質者っすわ。いえい。 そういった視線にもめげず、捜索を繰り返す。そしてとうとう! 問題の自販機。 ライトに反射して何かがきらりと光る。おお!ようやく最初のお金が……、 真…、珠……、? え……? しんじゅ? 自販機の下に、真珠? どういうこと?白金、ってそういう街なの?小銭感覚で真珠なの? ……、深く考えるのはよそう。 真珠を得て勢いが付いたのか、その後は破竹の展開だった!! ( ↓ 以下、自販機の下から出てきたもの) うりゃあああ。 (偶然買い物に来た人にお願いして撮ってもらう。なんかこの人、気持ち悪いなぁ、というような顔をされる) 金!60円!! うりゃあああ。 (散歩中のマダムに撮ってもらう。なんかこの人、気持ち悪いなぁ、というような顔をされる) 金!!!105円!!!! 東大病院にも行った!!! 変なアクセみたいの拾った! (当然、写真の医師に、なんかこの人、気持ち悪いなぁ、〜略〜) 50円!!!! 1円!!!!!!!! すごいすごい。どんどんお金が集まるぞ!! ん? ……。 い、ちご……? まぁ、いいや。 なんだ、ただのエロDVDか。 うおおお、凄いぞ500円だ!!!! 靴下…。 フランス書院文庫「狂姦!」を手にいれた! etc、etc。 ってな感じでめぐりめぐった自販機の数々!!!! ↓↓↓ 約150個!!! うーん、少々不満だ。やってる感覚だと最低でも200の中盤はいっていると思ったのだけども、 本当に洒落た通りや住宅街などに入ると自販機がマジで皆無でこの数に落ち着いてしまった。 何はともあれ、足を伸ばせる範囲で捜索できる自販機はすべて調べた! いよいよ、そこで拾った金銭の総額を発表したいと思う! その金額! なんと! しょっぺぇ。 恥ずかしい話、自分は午前九時に白金入りし、午後五時まで自動販売機を捜索していた。 拾った金を、同じく九時−五時で労働する一般的なサラリーマンと比較してみる意図もあったからだ。なんたる体たらく。要は八時間労働である。自給に換算すれば90円ちょっと。どこのブラック企業やねん!! だがこれにも理由があるらしく、這いつくばって捜索中、偶然出会ったおばちゃんが教えてくれた。 (当然、そのおばちゃんもなんかこの人気持ち悪いなぁ、〜略〜) 婆「あんた、そんな風に探しても銭にならんでよ」 ニ「何故でしょうか?」 婆「そりゃあ、あんた。本職の人が持っていっちゃうんだもの」 本職。 つまり本来たんまりと埋蔵されているはずの白金の自販機下の金は、 大住有流に言うところの「先輩」達が持ち去ってしまっていたのか。 (大住編集長はいわゆるホームレスの方々を敬意を持って「先輩」と呼ぶ) 先ぱぁああああああいっ!!、あんたらこんな所までも……。 その後の顛末。 拾ったものを全て交番に届ける。 こっちの金は白金○丁目の×番地のコカコーラビバレッジ、管理番号〜〜〜番の自販機の下で○時×分に拾ったものです。んでこっちは……、 と快活に話すこの男は、当然のように警察のひとに、 なんかこの人、気持ち悪いなぁ、 というような顔をされましたとさ。 おしまい。 ニノマ |
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