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追跡!落とした財布はどこへいく?


最近ろくでもないことばかりが私の身にふりかかる。
飼い犬が野犬狩りにやられた。
道を歩行していたらヤンキーの人に、面白いから、という訳のわからない理由で蹴られた。
特に極め付けが、全財産をいれた財布を落っことした。

落とした財布は大概にして自分の手に帰ってくるケースは少ない。
たまに帰ってきたとしても紙幣が抜き取られていたりする。
だが残酷であると思うとともに、ひとつの興味をそこに抱く。

落とした財布はいったいどのような経路を通って消えるのか
そして、いったいどのような経路を通って持ち主の手元に帰るのか。

財布を落とした負け惜しみではないが、今回はこれを検証してみたいと思う。



さて落とした財布の行方を追跡するわけだが、そのために避けては通れない重要なプロセスがある。

財布を落とすのだ。

普通に道を歩くだけでぽいぽい財布を落とせる人はあまりいない。運がいいことに私もぽいぽい財布を落とせる人間ではないためここは人工的に落とした財布を作る必要がある。つまりわざと財布を落とすのだ。
まさかこの資本主義社会を生きていてわざと金を捨てる時がくるとは。

極めて珍しい「わざと落とされる財布」

それぞれの財布には1000円を入れる。お金が入っていなければ財布ではない。昔「コーヒーを入れないクリープなんて」というCMがあったが、コーヒーはクリープを入れなくても飲める。だがお金が入っていない財布は持ち主をただ悲しい気持ちにさせるだけの邪悪な物体だ。またショップのメンバーズカードを入れ、自然な「偶然落とされた財布」を演出する。そして、

連絡先を記入した紙も入れる。

可能性としては低いが拾った人と直接コンタクトが取れれば、交番に届けられた場合などもっとより詳しく財布を拾われた経緯を聞かせてもらえるはずだ。

準備は整った!
それではこの財布を東京の主要都市に落として、その後の模様を追跡してみようと思う。



その1 新宿

新宿駅東口アルタ前にて。

撮影を行ったのは平日の半端な時間だったがやはり新宿駅の目の前ということもあって人通りは多かった。ここで落とせばほぼ確実に財布を拾ってもらえるはず!だが財布を落とす前に今回の撮影で使用する機材を紹介させてほしい。

犯罪のにおいしかしない。

こんないかがわしいものを使用するには訳がある。というのも、財布が落ちていたとしてそのそばにあからさまにカメラを回す不審な野郎が突っ立っていたら誰も財布を拾わないからだ!罠にしか見えない。またここで明言しておくが、例え目の前で財布を拾われ、そのまま紙幣を抜かれて捨てられたとしても私は悲しくはなれど、絶対に糾弾はしない。落ちていたお金をくすねてしまう誘惑は誰にでもあるし、その一瞬がたまたま今回だっただけの話だからだ。多くの人が共感できる感覚だと思う。

さぁ、長い前置きは終わった。ここからは実行あるのみだ。それでは財布を落としたいと思う!

投下。

人ごみが切れた瞬間を狙って落とした。落とした財布はどこへいく!?





…。





ちら見。





誰も拾わない。

ちょっ!都会は冷たいって言うけど落ちてる財布すらですか!?
ちら見をする人はたくさんいるが、拾おうとする人はいない。
こうもあからさまに落ちている財布は人の目のある人ごみでは拾いづらいのかもしれない。
もしや企画倒れか。不安が徐々に積み重りながら時間だけがすぎる。すると!

お。

おばーちゃんが拾った!

ありがとうおばーちゃん!ここからが本番だ!好奇心が燃え上がる。
財布はどこに運ばれて、いったいどうなってしまうのか!?

ん?

……。


財布は交番に届けられた。


…そうだった。東口のすぐ横は交番じゃないか…。いや!別にこの結果が不服とかそういうことではなくて、どちらかというと人情味があって素晴らしいなぁ、いやぁはっは、おばーちゃん最高!でもちょっと人間の黒いとこみたかったな、とか全っ然思ってないし!都会のあったかい部分が見れてほんと心が洗われるようですわっはっは。


財布の行方より、財布が交番に届けられるという当然のことに違和感を感じる自分の汚れっぷりに愕然とする。


でもおばーちゃん、お手数かけてごめんなさい、本当にありがとう!



その2 渋谷

渋谷センター街にて。

若さと欲望が渦巻く街、渋谷はセンター街にやってきた。次の実験の場所はここだ。
先ほどの新宿と似たようでまた違う人種が集う街。落とした財布の行方も変わってくるはずだ!

投下。

自然に財布を落とすということは意外と難しい。タイミングを考えずに落とすとすぐに後ろの人が「落ちましたよ」と声をかけてくれるのだ。コツがいる。そんなコツもうこの先一生使うことはないだろうけど…、っとかなんとか言ってる間にっ!

もう拾われている!!

早っ! わかりづらい写真で申し訳ない。

拾ってくれたのは若い女性二人組み。慌てて追いかける。
渋谷は若者の街だけあってみんなハングリーだ!落ちてるものは逃がさないのだ。

どこに向かうのだろう。

お!財布の中を確認している。もしかしたら連絡をもらえるのだろうか?
…いや、しない。再び歩き始めた。

この道をまっすぐ行った先には交番がある。交番に届けられるのだろうか?
新宿の結果といい、もしかしたら都会人は冷たいというのは勝手な思い込みで、
実はみんな財布が落ちていたら持ち主が困るだろうと思う心の優しい人ばかりなのかもしれない。
だとしたらこんな人の良心を弄ぶような企画を考えてしまった自分が恥ずかし…、

うぉっ引き返してきたぁっ!

何故だ?何の前触れもなく振り返られた。撮影スタッフ共々激しく動揺する。と、

運が悪いことに急に道をゆく人の数が増え、拾ってもらった人の姿が人ごみにまぎれる。そして、

見失った…。

冗談のような急な展開だった。非常に残念な結果になってしまった。

しかし、次の街へ移動中、渋谷の交番から連絡が入る。「財布が届いています」
嬉しいことだ。やはり人はみんなあったかいのだ。困った人には手を差し伸べてくれるのだ!



その3 秋葉原

秋葉原電気街口にて。

日が暮れ始めた。退社時間と重なりだいぶ人の流れが増え始めている。
オタクの街と名高い秋葉原、財布が落とされることによってどのような顔をみせてくれるのだろう。

投下。

用意した三つの財布の最後のひとつを今落とした。
新宿→交番、渋谷→交番、と今ひとつ予想を裏切らない結果が続いている。
今回の企画の実験を行う最後の街であるだけに否が応にも期待が高まる。

すると、

な…、に…?

メイドさんが、秋葉原の象徴、あのメイドさん達が財布の周りに集まり始めた。こ、これは…、

ひ、拾ったぁーーーっ!!!!

す、すげぇ。まさかメイドさんが財布を拾ってくれるなんて…!!無駄に感動している!
だ、だがこれはもしかしたら残念な結果なのかもしれない。

なぜならメイドさんは天使だ!

天使であるメイドさんが落ちてる財布を着服するわけがないじゃないか。
絶対交番に届けてくれるに決まっている!!それが世界の真理というものだ!
いや、もしかしたら直接連絡をしてくれるかもしれない。そしたらメイドさんとお近づきに…、

ん?どっかに行くようだ。

…。

どこへ行くというのだろう。そっちは電気屋で交番はない。そのまま電気屋に入って行って、

数分もしないで戻ってきた。





近場に交番がないからとりあえず電気屋に届けてくれたのだろうか?
カメラの精を残してメイドさんが入っていった電気屋に行き、財布が届いていないか尋ねた。

「財布?届いてませんね」


??

こ、これは…、





その後変わらず駅前で立ち続けるメイドさん。







財布、消える。


め、メイドさん…?


いやいやいやいや、メイドさんを疑うことなんてあってはいけない。
きっと連絡をくれるのだ、そうに決まってる!

我々は秋葉原から離れ、連絡を待つことにした。

これまでの街でもちゃんと財布は戻ってきたのだ。
メイドさんもきっと、連絡をくれるに違いない。



その4 連絡を待つ。自宅。

さぁ、いつメイドさんが連絡をくれても、0.1秒で対応できるように、
パソコンの前でメールも開いてスタンバる。カモーン!マイスゥーイトメイドさん

実は結構わくわくしている。

交番に財布を届けなかったということは、絶対に連絡がくる。
メイドさんと直接連絡を取り合うのだ。出会い、って運命的なほど燃え上がるんだぜ!





まだ来ない。くそう、じらすじゃねーか、マイベイベー!いつでも飛び込んできていいんだぜ!





ず、ずいぶん恥ずかしがり屋さんなメイドさんだったようだ、そんなに遠慮しなくていいんだ、ぜ!





連絡こねーよ。
Tシャツを着替えていることから時間の経過をご察しください。

俺の理想のメイドさんは財布とともに都市の暗闇に消えた。

いや、それは違う。きっと違う。
メイドさんには交番に届けることも連絡もできない何らかの事情があったんだ。
パソコンはおろか携帯ももっていなくて、しかも全国指名手配されていれば、
どんなに優しい天使のようなメイドさんでも財布を持ち主に届けることは出来ない…。
そうじゃないにしてもきっと何かの行き違いがあって、連絡がないだけなんだ…。
メイドさんが服の色だけじゃなくハートの中までブラックだったなんて、そんなわけない…。



そうっすよね?メイドさん?



結論

新宿-○ 渋谷-○ 秋葉原-×
二勝一敗。

確率で言えば七割弱。モデルケースにするには絶対的に実験数が少ないが、

意外と財布は帰ってくる!!



まぁ、自分から財布を落としてる人間が「財布が戻ってこない」なんてわめくのは完全にお門違いなわけで、おばーちゃん、お二人組み、メイドさん、ご協力ありがとうございました!!

実はこの撮影を行ったのは一月。三ヶ月の間、メイドさんのことをあきらめきれず記事にしないで連絡が来るのを待っていた、なんてことは、否定しねえ!!!!!



ニノマ
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