●更新日 02/04●


交番は手錠を外してくれるか


おげぇッ!!

やっべぇ…、手錠で遊んでいたらうっかり自分にかけてしまった。
鍵はない。この前酔っ払ってなくした。どうしよう。

このままではご近所で悪い噂がたって気軽に表も歩けない。
「ヒソヒソ…、ほら、あの人」
「まぁ、手錠なんてつけちゃって」
「きっと脱走犯か、イメクラと現実の見分けもつかなくなった変態なのよ」
「まぁ、悲劇だわ、通報して射殺してもらいましょ」

これはまずい。問題解決のために私は考えに考えた。普通の鍵を失くした場合、

自転車の鍵を失くした → 自転車屋のおじさんが助けてくれる。笑顔で。
車の鍵を失くした → JAFのおじさんが助けてくれる。笑顔で。


というように鍵のトラブルはその道のスペシャリストが助けてくれることがわかった。
なるほど、手錠のスペシャリストに助けを求めればいいんだ。わかったぞ。

手錠の鍵を失くした → 交番のおじさんが助けてくれる。笑顔で。

これだ。
んじゃ今から交番に行って、いっちょ手錠の鍵を外してもらってきます。



電車でちょっくら交番まで。

うーん、手錠をつけて日常生活をするのはやはりいろいろと支障を被るな。
財布を出したりするのが面倒くさい。携帯を出したりするのが面倒くさい。

…、たいしたこと無いかもしれない。

渋谷駅に到着。

昼前で賑わう駅構内。手錠をつけた人間が徘徊しているにも関わらず誰も私には注意を払わない。
? もしかして手錠って普通なのか?

今回お世話になる交番。

いや、やっぱりおかしいようだ。女子高生に指さされて笑われた。不安がつのる。

正直な話、けっこうビビっている。
元々体質的に街でおまわりさんを見るだけで怯えるのだが、
今回はおまわりさんのホームである交番にはいっていく。虎穴である。
しかも手錠をつけてだ。法的にはなんら問題は無いが不謹慎に思われないだろうか?
滅茶苦茶に怒られたら本当に嫌だなぁ。

しかしいつものことだが躊躇していても何も始まらない。腹をくくるしかないのだ!
いってみよう。果たしておまわりさんは、鍵を失くした手錠をはずしてくれるのか!?

いった。

ニ「すいません、手錠をはずしてくれませんか」
警官「…はぁ?(笑)」

おまわりさん、苦笑す。

警官「どうしちゃったのそれ?」
ニ「いや、ふざけていたらこんな風に。鍵もなくって」

警官「鍵無い?まずいね〜」

ニ「おまわりさんに頼めばはずしてくれるかなって」
警官「いやぁ〜、ちょっと待って、とりあえず中に入りなさい」

交番内へ。全員で対応してくれる。みんな興味津々。

…これは予想外だ。おまわりさんが、

フレンドリー、そしてスマイリー。

やはりサービス業は笑顔が命ということなのだろうか。
笑顔のおまわりさんを見るなんて初めてだ。
いつもは鬼の形相で身分証の提示を求められるだけの付き合いなので。
知らない一面を垣間見れて嬉しい。

前後の文脈が無ければかなりきわどい写真。

警官「これはしっかりかかっちゃってるねー」
ニ「おまわりさんの手錠の鍵で開けられたりしないものですか?」
警官「それは無理だと思うよ、ちょっと待ってて」

やはり手錠の鍵は共通ではないようだ。そりゃそうか。
奥に入っていったおまわりさん、何を出してくれるのだろう。
針金で漫画やドラマのように開けるのだろうか、それはちょっと見てみたい。





ペンチだった。


ザ・力技。

うおお、警察が打ち出した手錠への回答は「ペンチで鎖を切断」。
シンプル!プリミティブ!すごく今おまわりさんに親近感が湧いた気がした。

早速切断をする。

一発気合を入れてペンチに力を込めるおまわりさん。
鎖越しでも凄い力がかかっているのがわかる。パワフルなおまわりさん。
この人たちが治安を守ってくれてると思うとものすごく安心する。がんばれ、おまわりさん。

警官「…ダメだ、切れないな」

早いな!!

ちょっと待ってくれ!警察官が手錠に負けちゃダメだろ!!なんか本末転倒だろ!!
鎖を見てみると少しへこんでいるけど確かに切れそうな気配はない。マジかよ!

警官「しょうがない、あれを使うか」

しかし、どうやら別の打開策があったみたいだ。
鎖を切っていたおまわりさんがため息をついて奥のおまわりさんにこう言った。

警官「マサカリあっただろ、あれもってきて」


は?

マサカリ。金太郎の武器。


↑これ?

これで切るの?鎖を?

そんな乱暴な!!!

いや、でもネタ的にはいいのか?白昼の渋谷のど真ん中でマサカリ振りかざして手錠たたっ切るおまわりさん、確かに凄いな、いやでも手元狂ったら私の手がミンチに、いやでも…、

動揺しながらぐるぐると思考を巡らせていたらおまわりさんが戻ってきた。
凄いことになってきたな、まさかマサカリが出てくるとは…、

警官「マサカリは危険だから別のペンチで切ってみよう」

マサカリ流れる。うーん、ほっとすればいいのか、落胆すればいいのか。
とにかくさきほどより少し大きめのペンチで切断作業が再開された。

おまわりさん、ずいぶん苦戦されている模様。ここまで必死になってくれることに本当に感謝。
こうしている間に別のおまわりさんに軽い職務質問をうける。
なんでも手錠をつけているから、逃走中の脱獄犯でないことを確認するためらしい。


交番こないよ。脱獄犯。


そして、とうとう、
切断。


U R L 
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うっお、切れた。凄い。ありがとうございま…、

警官A「よかったねー、切れた切れた」
警官B「手錠つけたまんまじゃ何かと不便だろうからねー」
警官C「いやー、よかった、ほんとよかった!」


当事者よりも喜ぶおまわりさん達。そして、

めっちゃスマイル。

警官「もう手錠で遊んじゃダメだよ?」
ニ「はい。ありがとうございました」
警官「気をつけて帰りなさい。それじゃあね」

最後の最後まで親切だった!




というわけで、

手錠をはずしてもらえました。

驚いたことに最初から最後まで、申し訳なくなるほど親身になっていただきました。
手錠の鍵を失くしたら交番にいきましょう。おまわりさんは私たちの味方です!
そして今回ご協力いただいた警察官の皆様、お忙しい中、

本当にありがとうございました!!




いやー、おまわりさんにも凄く優しくしてもらえて順風満帆な撮影だったなぁ!さぁて、
この鉄の輪っかどうすっか。



ニノマ



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