●更新日 01/11●
雪国の新ヒーロー
オレこと記者猪狩は昔から“ヒーロー”になりたかった。
しかし、こんな薄汚れたオレじゃキッズ達のヒーローにはなれない。
どうしたらいい?
美味しそう楽しそうな子供を物欲しげに見つめる薄汚れたオレ
オレは既に答えを知っていた。
子供の頃、自分が憧れていた“ヒーロー”に自身が変身する。
そして、皆のハートを鷲掴みにするんだ。
しかし、著作権だの肖像権だのがうるさい昨今、そのまま過去のヒーローの物まねをするのも少し怖い。
そこで考えたのが、
ゆきだるま
アレだっ!!
キッズが夢中になってる雪国のヒーロー“ゆきだるま”になれば、いい。
早速、チャレンジ
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するも、北海道は1にも2にも“パウダースノー”である。
街中のサラサラで水っ気の少ない極上の雪は、巨大ゆきだるま作りを至極困難なものにする。
固まらない
そこで急遽、雪が積もりに積もっているであろう山の中へ移動する。
たっぷりとした深雪に身を沈め、雪を固めるのではなく、身体の周りの雪を“丸い形”にしていく作業は、さながら菩薩を彫り上げる作業の様であった。
そんな悪戦苦闘を経て、1時間後・・・
かまくら?
何とか“ゆきだるま人間”が完成
よりキッズの心を鷲づかみにする為に、
水分が体温をををっ
頭からシロップをかぶる
そう。
新ヒーローユキダルマンのキメゼリフは、
勿論モデルはアンパンマン。
「ボクのカラダをお食べよ〜!」だ
バイキンマンをやっつける事は出来ないが、腹ペコキッズ達を満腹にする事は出来る。
ああ、早くキッズ達にお披露目したい。思う存分体をむさぼり食われたい。そんな淫らな欲望がオレの体を駆け巡る。
しかし、ここは
16時頃、雪山は既に薄暗い
山の中
ユキダルマンは単独行動が不可能な無力なヒーローだ。このままでは“雪山の中心で、勝利を叫ぶ”つもりが、“雪山の中心で、自称記者の猪狩さん凍死体で発見”である。
「本末転倒」
そんな言葉が脳裏をよぎる。
しかたないので恥を忍んでカメラの精に子供を呼んでくるようお願いする。
何とかして下さい、お願いします
市街への距離は往復15km以上で、雪の山道を往来すると戻りは17時過ぎである。
真っ暗になってしまう。頼む急いでくれ。ここは人も通らない雪山の奥深くだ。
キッズに会えないばかりか、二度と誰とも会えなくなる可能性もある。
気は急くばかりだが、焦ってもどうしようもない。祈って待とう。
―――――そして、祈りは天に通じることはなかった。
カメラの精は帰ってこず、あたりは闇につつまれる。
その時オレは「フランダースの犬」の様な安らかな死を迎えることもなく、ただ一つの感覚に支配されていた。
人はそれをこう呼ぶ・・・
16時20分
16時45分

猪狩
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