哀・戦士 KIM
◆人はチャリンコ24時間でどこまで逝けるか?(前編)


探偵ファイルをご覧の皆様はじめまして。
この度、探偵ファイルのメンバーとして加えて頂きました『キム』と申します。
山木さんのコラムを見て私の芸名(?)に応募して下さった皆様、どうもありがとう御座いました〜。


写真1
探偵ファイル 新メンバー・キム 衝撃のデビュー


キム「やっぱりキムタクに似てるから『キム』なんでしょうかね?」
山木「金髪だから金(キム)ってことで。」

...なんて安易な。 これが探偵というものなのか。
「太陽にほえろ!」のジーパン刑事やマイコン刑事なみのテキトー加減だ。
まあ、なにぶん若輩者ですので、皆様からご指導ご鞭撻のほど頂けると嬉しいです。
宜しくお願い致します。

キム「今日から初仕事。よーし!先輩たちに負けないよう、頑張って良い記事を書くぞ!」

…と意気込んで出社したその朝。

編集長「やあ、初めまして。編集長のMr.Xです。早速だけど、電波少年でチャリンコ乗
    ってる奴らいるじゃん


   取り敢えずキミ24時間自転車乗ってみてよ。

キム 「…ハァ?(理解するのに時間がかかっている。)あの〜、記事書いたりするん
    じゃないんですか?」

編集長「ん?君は2代目のあぶない探偵に決定したんだけど。」
キム 「ガ─────── (゜Д゜) ──────ン!」
編集長「じゃあ、そういうことだから。君には期待しているよ、キムチ君!」

“期待している”といいながら名前を間違っていやがります。
ファースト・インパクト。初っ端からこれです。
先輩である山木さんが、賢者のように悟った顔でウンウンと頷いています。

山木「まあ、頑張ってくださいよ。終わったら迎えに行きますから。」

拝啓おふくろ様。 東京はマジでおっかないところです。(TДT)

キム 「解りました。喜んでやらせて頂きます(ヤケクソ)。ところでどんなのに乗っ
    て行くのですか?やっぱレース用のヤツとか?」
編集長「コレ。」


写真2
コレ


“2003年度のニューモデル・探偵ファイル仕様だ”と仰っていますが、どう見ても…ただのママチャリ(どノーマル)です。

キム 「…装備とかは充実しているんですよね!?」
編集長「装備?んじゃコレあげる。」


写真3
コレ その二


....リゲイン。24時間戦えって事ですか?

Mission1:自転車で24時間走り抜け!
指令“港区の青山から出発して、246号を自転車でひた走る”

編集長の、「時間がわかりやすいから。」というテキトーな理由で0時スタート〜24時ゴールという事になりました。 もう好きにして下さい…。
初めての収録と言う事で緊張しながらスタートを待つ私を置いて、1人、また1人と探偵ファイルのメンバーは帰って行きます。 事務所に残っているのは私だけ。あれれ?

キム 「あの…どなたが撮影して下さるのでは?」
編集長「ああ、ビデオ貸すからこれで撮って来て。」
キム 「え? ワタシヒトリデスカ!?Σ(´Д`;)」 ←思わず片言

山木さんがよく、「鬼!」って言っていましたけど、いま私も確信しました。
この事務所は鬼しかいません。


Mission Start!

0:00 東京都港区青山二丁目付近
1人っきりの出撃です(泣)。 ビデオに話し掛ける私の声だけが路地に響いていました。
実に寂しい。 せめて見送りぐらいしてくれたって…。
出発の時に言った「逝ってきます」がずーっと頭の中をぐるぐると駆け巡っていました。

1:00 東京都世田谷区瀬田二丁目付近
出発から1時間が経過しました。
流石に都心とあって、何度も信号に行く手を遮られました。 思うように進めません。
この地点で「静岡170Km」の看板が。 170kmか…。
どこまで行けるか解りませんが、頑張ります!


写真4 写真5
まだ1時間しか経ってない為、まだまだ元気いっぱいです。この余裕が後で響く事に…。


2:00 神奈川県横浜市青葉区つつじが丘付近
2時間を越えたあたりで早くも体に異変が。 ケツが痛い。 非常に痛い。
おそらく自転車のサドルで擦れる為だと思われますが、本当に痛いのです。
ふと、昔の『電波少年』に出ていた「ロッコツマニア」を思い出しました。
若手芸人の2人がスワン(よく湖にある、足で漕ぐ白鳥のヤツ)で海を越えていく企画だったのですが、このスワンで2人のケツは見事に腫れ上がっていました。
(´-`).。oO(俺のケツもああなっちゃうのかな…)と、とても不安になりました。


写真6
横浜市キタ―――――――――(゜∀゜)―――――――――!!!


3:00 神奈川県大和市上草柳付近
ふと夜空を見上げると、そこは満点の星空。オリオン座が綺麗に輝いています。
この星の下、大汗流しながらチャリンコを漕いでいる俺はなんなんだろうなぁと考えたら、ちょっぴり泣けて来ました。(ノД`


写真7
3:30 厚木市突入


厚木市に突入してから暫く経ったところで、私は最初の難関を突破しなくてはならなくなりました。その難関とは…?


写真8
階段地獄


なんと、自転車用のスロープが一切ない歩道橋が現れました。
指令は、“246号を走れ”なので、他の道へと迂回して行く事は出来ません。
仕方が無いので、自転車を持ち上げて階段を上ります。 実に辛い…。
しかも、持ち上げて登った訳ですから今度は持ち上げて降らなければなりません。
結局厚木市内で3箇所も自転車を抱えての上り下りを経験しました。
厚木市はもうちょっと自転車に乗る人の事を考えて欲しい!


4:00 神奈川県厚木市水引一丁目付近
1つ解った事。 神奈川県は坂が多い。 と言うより、246号線という道のりが坂の多いところにあるのでしょう。 アップダウンが厳し過ぎます。 実にスパルタンです(;゜Д゜)

5:00 神奈川県伊勢原市下糟屋付近
5時間経過したあたりで、ついこの間読んだ前立腺の記事の事を思い出しました。
あの中で、“長時間自転車に乗るのは良くない”と書いてあったはずです。
私の前立腺は大丈夫なのでしょうか?不能になるには早過ぎます。
また不安が増えました…。

6:00 神奈川県伊勢原市善波付近
やたらと長い坂が続いていたので、すげぇ峠だなぁと思っていたら…


写真9
6:20 弘法山出口バス停


弘法山? 地理が苦手な私はイマイチ現状を理解していなかったのですが、後で調べてみたら、辛くて当然だったみたいですね。

7:00 神奈川県秦野市沼代新町付近
いよいよ御殿場!と言う所で私は最大の難関にぶち当たりました!


写真10
歩道が無い!


マジでやばいです。歩道なんてものは欠片もありません。それでも行くしかないのです。
ううう…。

8:00 神奈川県足柄上郡山北町山北付近
えへへ。 御殿場への道は、スリル満点☆ ←壊れ


写真11
トラック ビュンビュン☆


「死にたくねぇ〜!!! (((゜Д゜;)))」を連発していたところ、道路沿いの民家の窓から外を見ていたおっさんと目が合いました。

おっさん「あ、危ないよぉ〜。危ないというか、なにやってるの!!?

こんなところを自転車で通る奴を見るのは初めてだったのでしょう。
明らかにキチガイという目で見られてしまいました。 山木さんの気持ちがよーく解りましたよ…。


写真12
あまりの恐怖に壊れ始めるキム


9:00 神奈川県足柄上郡山北町川西付近
ボロボロになりながらも坂を上り続けていると...


写真13


静岡県です!静岡県ですヨ!? よくもまあ、こんなところまで来たものだなぁと思っていたら、なんかやたら大きくて綺麗な山が…


写真14


( ´Д`)∩ <先生! 富士山です! まさか、自転車だけで富士の姿を拝める所に来るとは思ってもいませんでしたね。 その雄大さにしばし我を忘れて見惚れていました。 かと思ったら…


写真15
また歩道ナシですか


正直、私この企画を甘く見ておりました。ハイ。
24時間走るだけなら、体力とか根性でどうにかなるな、と。
まさか“度胸試し”になるとは思っていませんでしたよ。とほほ(泣)。

10:00 静岡県駿東郡小山町中島付近
10時間経過したこの辺りで、さっきまであんなに緊張していたのに急に楽しくなってきました。 人間は疲労が蓄積されたり、苦痛を感じたりすると脳内麻薬であるエンドルフィンを分泌して苦痛を和らげようとすると聞いた事があります。
マラソンランナーのランナーズ・ハイなどが有名ですね。いまの私がソレなのでしょう。
この楽しさは、自分自身でもやばいと思わせるものがありました。


写真16
10:45 御殿場市突入


11:00 静岡県御殿場市山之尻付近

12:00 静岡県御殿場市茱萸沢付近
遂に出発してから12時間が経過しました!あと半分です。…あと半分もあるのです。


(続く)


(マジで危険ですのでマネしないでください。轢かれます。)


( 探偵ファイル・キム )



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